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スノボー竹内智香に無念の途中棄権審判「スポーツマンシップってなんなんだろう」…五輪で騒がれてきた“不可解判定”を振り返る

posted2022/02/10 11:03

 
スノボー竹内智香に無念の途中棄権審判「スポーツマンシップってなんなんだろう」…五輪で騒がれてきた“不可解判定”を振り返る<Number Web> photograph by Getty Images

前回大会スノボー女子パラレル大回転・銀メダリストの竹内智香。8日に決勝トーナメントに登場したが、無念の途中棄権判定で6度目の五輪挑戦を終えた

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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 2月8日、スノーボード・アルペンの女子ジャイアントスラロームが行なわれた。決勝トーナメント1回戦を終えたあと、竹内智香は複雑な心境を明かした。

「スポーツマンシップってなんなんだろう」

 先にゴールしたのは竹内だったが、両者の転倒の場面で同走のラモナテレジア・ホフマイスター(ドイツ)を妨害したと判断され、途中棄権扱いで敗退となったのだ。

 問題の場面を改めて映像で見直すと、両選手が転倒したのはほぼ同時であったようにも受け取れる。とすれば、竹内の転倒が相手に関与していないことになるだろう。また、ホフマイスター自身も明確に抗議の意思を示すのではなく、すぐに立ち上がって滑り始めている。

 ただ、ドイツチームから「プロテスト」(抗議)が出て、竹内の妨害が認定されることになった。それに対して日本チームはもちろんスイスなどの他国陣営もプロテストをしたが、判定が覆ることはなかった。

審判員8名中6名がドイツ人で構成されていた

 この件の最大の問題はジャッジの構成と、そこから来る不信感であるようにも思える。

「ドイツチームがプロテストをしてきてジュリー(審判委員)のほとんどがドイツ人だったのでだいぶ厳しいな、不利だなと今、感じています」

 竹内の語るように、ジュリーは8名中6名がドイツ人で構成されていた。そこに不信感が生じてしまうのも無理はない。

 例えばフィギュアスケートのジャッジが特定の国の人ばかりであれば、公平性に欠けるとして、やはり問題となるだろう。いくら公平にジャッジしようとしても、自国の選手に高い得点を与える可能性が捨てきれないからだ。だからこそ複数の国籍の審判員がジャッジを行なうことが多い。それを踏まえれば、今回、半数以上が同じ国籍の審判員で構成されているというのは、偏りが突出しているようにも見えてくる。

「中国に有利では?」ショートトラックでも物議

 今大会では、ショートトラックでも「判定」が疑問視されるケースが相次いでいる。

【次ページ】 体操、柔道…これまでの五輪であった「疑惑の判定」

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