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《シルクロードS》香港スプリント2連覇に親子制覇…ロードカナロアが遺した“最強スプリンター伝説” 今年の短距離戦線も産駒に注目?

posted2022/01/29 17:00

 
《シルクロードS》香港スプリント2連覇に親子制覇…ロードカナロアが遺した“最強スプリンター伝説” 今年の短距離戦線も産駒に注目?<Number Web> photograph by KYODO

2013年のスプリンターズSを制した際のロードカナロア

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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KYODO

 今週末、シルクロードS(GIII)が行われる。芝1200メートルのハンデ重賞だが、2012年にこのレースを制したのがロードカナロア(栗東・安田隆行厩舎)だった。後に世界に名を轟かせるチャンピオンスプリンターへと成長する同馬だが、この時点ではまだ4歳。京阪杯(GIII)に続く2度目の重賞制覇だった。

「これでもまだ途上の身。まだ完成しているわけではありません」

 当時、そう語ったのは安田翔伍調教助手。現在は調教師となった彼だが、この時はまだ父・安田隆行調教師の下で働くスタッフの1人。彼が言う通り、その後のロードカナロアは初めてのGI挑戦となった高松宮記念で同じ安田隆行厩舎のカレンチャンの3着に敗れると、函館スプリント(GIII)やセントウルS(GII)でも2着に惜敗。本格化までもう一歩という競馬を続けた。

「日本馬初の香港スプリント制覇」という偉業

 しかし“その時”は突然やってきた。続くスプリンターズS(GI)では1番人気に推された僚馬カレンチャンに4分の3馬身の差をつけ先頭でゴール。走破時計1分6秒7というレコードのおまけ付きで一気にGIホースへと駆け上がった。

 更に驚かされたのは続く香港スプリント(香港、GI)だ。暮れに行われる香港の国際競走では幾度も日本馬が勝利していたが、いずれも1600メートルの香港マイル(GI)、2000メートルの香港カップ(GI)、2400メートルの香港ヴァーズ(GI)での話。短距離王国・香港におけるスプリント戦の壁は厚く、このカテゴリーだけは日本馬の前にいつも立ちはだかった。日本ではGIを制したチャンピオンスプリンター達が挑むものの、2桁着順に敗れるといった例は枚挙に暇なく、悪い言い方をすれば「全く相手をしてもらえない」結果に終わるのが常だった。

 ロードカナロアはそんな壁を一気に打ち破ってみせた。スプリンターズSを制した時と同じ岩田康誠騎手を背にした同馬は、地元勢を一蹴。日本馬として初めて香港スプリントを制してみせたのだ。

 こうして完全に軌道に乗ったロードカナロアは翌2013年も快進撃を続けた。阪急杯(GIII)を当たり前のように勝つと、高松宮記念もあっさりと制覇。更に距離を延ばしてマイル戦の頂点に挑んだ安田記念(GI)も優勝してみせた。当時、前出の安田翔伍調教助手は言っていた。

「ブリーダーズCのマイルに挑戦させたいと考えているくらいなので、1600メートルでも絶対に大丈夫だと思っていました」

 夏休みを挟んで秋初戦となったセントウルSこそまさかの2着に敗れたが、続くスプリンターズSを連覇して復活すると、ここも連覇を目指し、再度香港へ飛んだ。

【次ページ】 ロードカナロアが叶えた“夢のような”願い

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