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《チャンピオンズC》ソダシの“ダート挑戦”は本当に成功するのか? “芝GIホース”がダートに挑んだ「成功例」から分かることとは 

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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posted2021/12/04 06:02

《チャンピオンズC》ソダシの“ダート挑戦”は本当に成功するのか? “芝GIホース”がダートに挑んだ「成功例」から分かることとは<Number Web> photograph by KYODO

02年のジャパンCダート(現チャンピオンズC)で勝利したイーグルカフェ

“芝GIホース”がダートに挑戦する理由とは?

 芝でGIホースとなったイーグルカフェだが、それでもまだ小島太調教師はダート馬だという考えを覆したわけではなかった。

「芝もダートもどちらも走れる馬なのだと思うようになりました」

 そこで01年には根岸S(GIII)を使ってフェブラリーS(GI)にも挑戦した。しかし、結果はそれぞれ10、8着。同年秋には武蔵野S(GIII)で2着し、初めてダートで好走したが、この時も勝ったクロフネからは9馬身も離されていた。

 それでも翌02年、再びフェブラリーS(GI)に挑戦。14着に敗れるとその後はまたも芝路線へ戻し、夏には七夕賞(GIII)で久しぶりに勝利の美酒に酔った。更に秋にはマンハッタンカフェの凱旋門賞(GI)挑戦に同行してフランス入り。現地で芝のドラール賞(GII)に出走し、3着と好走した。

 ここまでの成績を見ると、明らかに芝馬という感じであるが、それでも小島太調教師はダート馬という自らの相馬眼を信じていた。フランスから帰国後の初戦として、ジャパンCダート(GI、現チャンピオンズC)に出走させたのだ。

「フランスでの好走は精神的に落ち着ける環境が向いたのだと感じました。だから落ち着いているうちに使いたいと思い、帰国後すぐのジャパンCダートを目指しました」

ホースマンの馬を信じる気持ちが歴史を作る

 当時のジャパンCダートは東京競馬場の2100メートルが舞台となっていた。しかし、この年は同競馬場のスタンド改修工事に伴い、中山競馬場で代替え開催される事になっていた。

「東京の2100なら使っていなかったでしょう。中山の1800だから使いました」

 鞍上にはランフランコ・デットーリ騎手を据える事が出来た。

「勿論、それも大きかったです。イーグルの少し足りないところを世界のナンバー1ジョッキーが補ってくれました。彼の神がかりな騎乗に加え、馬のデキ、条件、展開、全てがうまくピタリとはまりました。結果、芝とダート、両方でGIを制す事が出来ました。当然、嬉しかったです」

「イーグルはダートで走れる」という指揮官の信念が、ダートでの初勝利(そして結果的にダートでの最初で最後の勝利)をジャパンCダートという最高の舞台で成し遂げさせた。ホースマンの馬を信じる気持ちが歴史を作るのだと痛感させられた結果だった。

【次ページ】 “初ダート挑戦”でソダシが勝てる可能性は?

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