Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER

[第5戦 KEYMAN]太田椋「ワクワクし遂げた大仕事」

posted2021/12/03 07:02

 
[第5戦 KEYMAN]太田椋「ワクワクし遂げた大仕事」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

PROFILE

photograph by

Hideki Sugiyama

 1勝3敗と王手を懸けられ、後がなくなった中嶋聡監督は、第5戦で初めてセカンドの安達了一をスタメンから外した。日本一を獲るために7試合を戦わなければならなくなったバファローズにとって、神戸での2試合を勝ち切るために安達の存在は欠かせないからだ。持病があって体力的な不安のある安達をここで休ませることは、7つのうちの4つを取る逆算からすれば、どうしても必要な決断だったのである。

 安達抜きで第5戦を勝つために中嶋監督が抜擢したのが、20歳の太田椋だった。その太田がでっかい仕事をやり遂げる。2-2で迎えた7回表、ワンアウト二塁で8番の太田がバッターボックスへ向かった。

「今日、初めてのスタメンだったんで、緊張もワクワクもありながら、いい打席を送れたと思います。シーズン中のほうが緊張したというか、今日のほうが割り切ってできたし……ハイ、ワクワクしてやりました」

 スワローズの石山泰稚が2球目に投じた137km、真ん中やや外寄りのスライダーを太田のバットが捉え、前進守備の右中間を抜いていく。二塁から紅林弘太郎がホームへ還り、太田は三塁へ滑り込んだ。勝ち越しの一打に太田はベンチに向かって右の拳を突き上げる。中嶋監督が言った。

「勢いに乗って、怯まずにいってくれたら何とかなると思っていました。太田にとっては苦しんだシーズンだったかもしれませんが、やってきたことが間違っていなかったというだけのことはできたと思います」

こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
NumberWeb有料会員になると続きをお読みいただけます。

残り: 521文字

NumberWeb有料会員(月額330円[税込])は、この記事だけでなく
NumberWeb内のすべての有料記事をお読みいただけます。

関連記事

オリックス・バファローズ
太田椋

プロ野球の前後の記事

ページトップ