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遅いのに打てない石川のストレート。
第4戦 ヤクルト 2-1 オリックス

posted2021/12/03 07:05

 
遅いのに打てない石川のストレート。第4戦 ヤクルト 2-1 オリックス<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

石川は6回1失点の力投。40代投手では71年ぶりの勝利投手に

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伊東勤

伊東勤Tsutomu Ito

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Nanae Suzuki

 41歳の石川雅規が、流石の投球術でオリックス打線を翻弄しましたね。序盤はチェンジアップ系の緩いボールを上手く使っていたんですよ。ところが2巡目の対戦に入ると、今度は真っ直ぐを多く使いだし、そこにスライダーやフォークなど曲がり球を効果的に配していました。

 早い段階であのチェンジアップを見せられると、バッターはどうしても緩い球が頭に残る。それを意識しだすと、例え130km台のストレートでも、差し込まれたり打ち損じたりするわけです。オリックスの打者は思った以上にチェンジアップ系のボールが来ないので体が開き、ほぼ芯を外されていました。

 石川の巧さが表れていたのは、2回無死一塁で安達了一を迎えた場面です。カーブ、シンカーで2ストライクと追い込み、真っ直ぐでファウルを打たせ、最後はインサイドへの速いカットボールでショートゴロ併殺打。もう1球シンカーが来ると思わせて、速球で打ち取る、という投球術は捕手の中村悠平との阿吽の呼吸でなせる業でしょう。

 オリックスに流れが傾きかけたのは6回でした。石川が打者2人に対して2球で2アウトを奪い、迎えるは左打者の1番・福田周平。何としても球数を投げさせたい場面で初球から振ってくるわけはないのですが、3球続けてボールになり結局はヒットを打たれました。続く宗佑磨は、石川のボールに対してこの日一番タイミングが合っていた打者です。ランエンドヒットという形にミスも絡み、同点にされてしまった。石川に少し油断が出た場面でした。

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