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「私は叱ります」ロシア国内でも賛否両論…“女子フィギュアの世界を変えた”鬼コーチ・エテリとは何者か?

posted2021/11/15 17:01

 
「私は叱ります」ロシア国内でも賛否両論…“女子フィギュアの世界を変えた”鬼コーチ・エテリとは何者か?<Number Web> photograph by Asami Enomoto

昨今の「女子フィギュアの黄金期」を支えるロシアのエテリ・トゥトベリーゼ

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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Asami Enomoto

 フィギュアスケート女子の世界を大きくかえたコーチがいる。そう表すのも大仰ではないほど、ロシアのエテリ・トゥトベリーゼは存在感を放つ。

 この数年、育てたスケーターたちは驚異的な成績を残してきた。

「女子の世界を変えた」ロシア黄金期を作った

 最初にその名が広く知られることになったのは、2013-2014シーズンだ。ソチ五輪に出場しロシアの団体戦優勝に貢献、史上最年少の15歳で金メダリストとなったユリア・リプニツカヤの隣にいて、リプニツカヤの活躍とともにクローズアップされた。

 その後、指導する選手の活躍が続いた。2016、2017年の世界選手権を連覇し平昌五輪で銀メダルを獲得したエフゲニア・メドベージェワ、同五輪金メダルのアリーナ・ザギトワが代表的だ。フィギュアスケートファン以外でも知る人は多いのではないか。

 先々シーズンは圧巻だった。門下生のアリョーナ・コストルナヤ、アレクサンドラ・トゥルソワ、アンナ・シェルバコワがそろってシニアデビュー。それぞれ2度ずつグランプリシリーズの大会で優勝して全6戦を3人で制し、ファイナルの表彰台も独占したのだ。

 今シーズンのグランプリシリーズも、前半の3大会を制したのは皆、教え子だ。第1戦のスケートアメリカでは、トゥルソワが優勝し、第2戦のスケートカナダではシニアデビューシーズンである15歳のカミラ・ワリエワが自身の保持する世界最高得点を大幅に塗り替えて優勝。第3戦のイタリア大会では昨シーズンの世界選手権チャンピオンでもあるシェルバコワが優勝している。

 多くの選手が4回転ジャンプを武器に台頭してきた。女子は少し前であれば、トリプルアクセルが最難度のジャンプであり、ひと握りの選手しか跳べなかった。しばらくの間、浅田真央のみである時期も続いた。女子の世界をかえた、とされる所以でもある。

ロシア国内でも「賛否がある」鬼コーチのルーツ

 だが、その評価は錯綜する。名コーチと呼ばれる一方で、否定的に捉える向きもあり、批判もしばしばなされてきた。ロシア国内においてもだ。何が両端の評価を生む要因になっているのか。

【次ページ】 「なぜ厳しいコーチと呼ばれるのでしょうか?」

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