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イチロー「大輔は唯一かもしれないね。僕にとっては」 引退・松坂大輔を《同志》だと語った理由…第2回WBCで体はボロボロになっていた 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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photograph byHideki Sugiyama

posted2021/11/14 11:02

イチロー「大輔は唯一かもしれないね。僕にとっては」 引退・松坂大輔を《同志》だと語った理由…第2回WBCで体はボロボロになっていた<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

レッドソックスで1年目に15勝、2年目の2008年には日本人投手歴代最多の18勝をあげた松坂大輔

イチローも称える「何かを背負っている」同志

 松坂大輔といえば、侍ジャパンWBC2連覇の主役として思い起こされる。2大会連続でMVPに輝き日本中のファンを虜にしたことは昨日のことのようだ。

 だが、皮肉にも、2009年の第2回大会で3試合に投げ3勝0敗、防御率2.45の成績でチームを牽引したことが彼の体をボロボロにさせてしまうことの一端ともなった。

 このとき松坂は大会前から下半身に不安を抱えていた。それでも、そんな素振りは微塵も見せずに、いつも笑顔でニコニコ。投手陣の中心に立ち、後輩の岩隈久志、ダルビッシュ有、田中将大らの精神的支柱となり、自らは状態が万全でない中、14回2/3を投げ抜いた。第1回大会から日の丸を背負う責任を痛感し、自分を優先することなくチームのために献身する松坂の姿を、共に戦ったチームリーダーのイチローさんはこんな言葉で称えたことがあった。

「僕にとっては、大輔が背負っているものは何か人と違うものがある。常に自分だけではない何かを背負っている。あいつの中に秘めるものが必ずある。なかなか同志という存在はいないんだけど、大輔はそういう意味で唯一かもしれないね。僕にとっては」

WBC2大会連続MVPも「クマに悪いことしたな」

 2009年3月末、2大会連続MVPの名誉を引っさげ、レッドソックスのスプリングトレーニングの地フロリダ州フォートマイヤーズに戻ってきた松坂は、下半身の不調を隠しいつものようにニコニコと笑っていた。労いの言葉をかけるとこう言った。

「クマに悪いことしたな。今回のMVPはクマですよ(笑)」

 大会で松坂を上回る20イニングを投げ、1勝1敗、防御率1.35の成績を残した1歳下の後輩・岩隈久志(当時楽天)を気遣う。彼らしい言葉と感じた。

 だが、このときの無理はたたった。肩、肘だけでなく下半身も言うことをきかなくなり、この年は12試合の登板に終わりわずか4勝。2009年以降、二桁勝利はなく、満員創痍の体と向き合う日々となってしまった。

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