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開幕6連勝でセリエA首位を独走するナポリ 集大成の攻撃サッカーに敵将も「彼らこそリーグ最強のチームだ」とお手上げ 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2021/10/02 17:00

開幕6連勝でセリエA首位を独走するナポリ 集大成の攻撃サッカーに敵将も「彼らこそリーグ最強のチームだ」とお手上げ<Number Web> photograph by Getty Images

圧巻の攻撃サッカーで開幕6連勝とスタートダッシュに成功したナポリ。1989-90シーズン以来のスクデット獲得を狙う

 夏の移籍市場最終日に獲得されたアンギサは、指揮官が適宜変化させる4-2-3-1と4-3-3に適応。プレミア仕込みのスピードとフィジカルでボールを奪い、司令塔ファビアン・ルイスを中盤で守るガードマン役を担う。

 ビジャレアルでリーガ経験もあるアンギサは、スペイン代表でもある司令塔との攻撃展開も阿吽の呼吸で、相手ボールのときにはMFジーリンスキとともに素早く4-1-4-1に移り、中盤のフィルター役となる。

大物OBゾラは「このナポリには弱点がない」

 高次元の戦術バランスを備えたナポリは、最前線のオシムヘンから最終ラインまでが高い位置で有機的に繋がり、“いつでも、どこでも”ここぞという場面で高精度の攻撃を仕掛け、相手を陥れる。

 豊富な国際経験をもつ大物OBゾラは、愛着ある古巣の快進撃に驚きを隠さない。

「前線も中盤も最終ラインもまったく隙がない。このナポリには弱点がない。ベンチの人材も実力ある者が揃っているし、サッリ時代のチームと比べてもより完成度が高い」

 思い起こされるのは、昨季、前監督のガットゥーゾが折りに触れて訴えた彼の理想のサッカーだ。

 否、ガットゥーゾだけでなく、ここ近年ナポリを率いた指導者たちは皆、同じ潮流に沿ったチームの完成を模索してきた。今季のナポリは、過去10年近くにわたって積み上げられてきたスタイルの集大成といえるかもしれない。監督が代わっても、ナポリは毎年のようにリーグのシュート数ランキングで1、2位の座を争い続けている。

 だからこそ、昨季最終節で3年ぶりのCL出場権を逃した悔恨は、チームにもファンにも深い傷として残った。懐疑心の強いナポリっ子たちは、百戦錬磨の智将スパレッティ就任の報を聞いても失望がくり返されることを恐れ、プレシーズンのキャンプ時点での期待は薄かった。

 だが、智将スパレッティは新天地ナポリへの愛を訴え続け、長年の手練で瞬く間にチームを掌握した。

 クラブ最多勝点「91」を記録した2017-18年シーズン以来、クラブ史上3度目の開幕5連勝を達成した際は「自分は先達が残していったものに導かれているにすぎない」と言い、前任者たちへの敬意と、今季目指すところへの抱負を語った。

「今のナポリには、ベニテスやサッリ、アンチェロッティにガットゥーゾといった素晴らしい監督たちが植え付けてきた1つの継続したスタイルがある。私は彼らが敷いてくれた道に従って歩んでいるのだ。そのスタイルを信じ、指導についてきてくれる選手たちへの褒め言葉はいくらあっても足りない。他のチームは大幅に戦力を入れ替えたところもあるが、うちは昨季のチームからDFヒサイやDFマクシモビッチ、MFバカヨコが抜けた以外、ほぼそのままの陣容だ。手の内を隠すことはしない」

【次ページ】 唯一の不安材料は来年1月のアフリカ・ネーションズカップ

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