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《10年前のドラフト考察》菅野の入団拒否、広島3連覇への契機、パで目立つ“3位以下”の頑張り…成功した球団は?

posted2021/10/01 17:04

 
《10年前のドラフト考察》菅野の入団拒否、広島3連覇への契機、パで目立つ“3位以下”の頑張り…成功した球団は?<Number Web> photograph by KYODO

日本ハムに1位指名され、記者会見に臨む菅野智之(当時、東海大)

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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 10月11日に迫ったドラフト会議を前に、10年前のドラフトを振り返ってみたい。

 2011年ドラフトで指名された選手たちのここまでの成績を振り返ってみると、パ・リーグでは3位以下の頑張りが目立つ。

 まず、現在パ・リーグの首位争いをしているロッテで目立ったのは、3位で鈴木大地を、4位で益田直也を指名している点だ。

 益田は9月8日にプロ野球史上17人目となる150セーブを挙げた。通算577試合目での達成は江夏豊(元阪神など)の757試合に次ぐ史上2番目に遅い“スロー到達”として話題になったが、これは中継ぎ起用が多かったこれまでのキャリアをよく表している。

 鈴木はBクラスが多かったロッテ時代に通算999安打を放ち、守ってはゴールデン・グラブ賞を獲った二塁、チーム事情によっては内野をどこでも守るユーティリティプレーヤーとしてチームを助けてきた。打撃面では長打より確実性に持ち味があるが、ロッテ最終年の19年にはキャリアハイとなる15本塁打、68打点を挙げ、楽天にFA移籍した20年にはこれもキャリアハイの打率.295を記録。変わらぬ勝負強さを発揮している。

 その一方で3球団競合の末の抽選権を獲得した1位藤岡貴裕は、プロ生活の滑り出しこそ順調だったが、その後は期待されたような活躍ができなかった。ロッテは前年の10年に3位から日本一を勝ち取り、「史上最大の下克上」と称賛されたが、この11年は最下位に沈んでいる。その後は20年まで3位止まりと、即戦力が期待された上位指名の大学生の伸び悩みが、チームを沈滞させる一因になったと受け取れる結果になった。

◆千葉ロッテマリーンズ(11年ドラフト)
1位 藤岡貴裕・投手/東洋大
2位 中後悠平・投手/近大
3位 鈴木大地・内野手/東洋大
4位 益田直也・投手/関西国際大

ドラフトの影響力を感じるオリックス

 オリックスも3位佐藤達也、4位海田智行が重要な戦力として活躍した。1位安達了一も安定した成績を残しているが、2位縞田拓弥は目立った成績を残せず、最終年の18年は一軍出場機会がないまま戦力外通告を受けて現役引退した。現在はスカウトに転身し、宮城大弥らの獲得に貢献しているのがまた興味深い。

 当時のオリックスは2000年からの12年間、Aクラスに入ったのが1回だけという万年Bクラスに沈んでいた頃。序盤から好調だった今シーズンは近年の若手選手の力が大きく、ドラフトの影響力の大きさが窺い知れる。

◆オリックス・バファローズ(11年ドラフト)
× 高橋周平・内野手/東海大甲府高
1位 安達了一・内野手/東芝
2位 縞田拓弥・内野手/JR東日本
3位 佐藤達也・投手/ホンダ
4位 海田智行・投手/日本生命
5位 庄司龍二・捕手/ジェイプロジェクト
6位 堤裕貴・内野手/龍谷高
7位 小島脩平・内野手/住友金属鹿島
8位 川端崇義・外野手/JR東日本
育1位 稲倉大輝・外野手/熊本国府高
育2位 柿原翔樹・内野手/鎮西高

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