甲子園の風BACK NUMBER

《当落線上から智弁和歌山優勝メンバーに》“高嶋前監督の孫・奨哉”を支えたイチローの言葉「プレッシャーがかかる中で…」 

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間淳

間淳Jun Aida

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photograph byHideki Sugiyama

posted2021/08/30 11:05

《当落線上から智弁和歌山優勝メンバーに》“高嶋前監督の孫・奨哉”を支えたイチローの言葉「プレッシャーがかかる中で…」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

「高嶋前監督の孫」という点に注目が集まったのは重圧だっただろう。しかし高嶋奨哉はイチローの言葉を胸に乗り越えた

 浜風も味方につけた高嶋は第4打席で、その強い風を切り裂くような鋭い打球を放つ。7回2死一塁から、左中間を真っ二つに破る二塁打。智弁和歌山に試合を決定づける6点目が入った。

高嶋の日常には幼いころから「甲子園」が

 高嶋の日常には、幼いころから「甲子園」があった。

 父・茂雄さんも智弁和歌山でプレーし、夏の甲子園に2度出場した。そして、高嶋の祖父は、アマチュア野球界を超えて名前が知られている仁さん。智弁学園と智弁和歌山で監督を務め、甲子園通算68勝は歴代最多を誇る。

 親子3代で引き継がれる「甲子園」と「智弁のDNA」。高嶋は甲子園で活躍するために野球を始め、重圧は承知の上で智弁和歌山を選んだ。その聖地の決勝戦で3打点をマークして優勝。目標を達成し、こう振り返った。

「甲子園は自分の持っている実力以上のものが出る場所であり、1球が命取りになる不思議な場所でした」

大会前は当落線上、大切にしている言葉

 今大会4試合すべてに先発した高嶋だが、憧れの舞台に立てるのか、大会前は当落線上にいた。

 祖父・仁さんに連絡をして、調子の上がらない打撃のアドバイスも受けていた。不安を残したまま挑んだ初戦の高松商戦。甲子園にDNAを刺激されたのか、高嶋は何かを取り戻した。初めての打席で安打を放ち、2安打1四球と勝利に貢献。さらに、準々決勝の石見智翠館戦では本塁打も放った。

 高嶋が調子を取り戻した理由は「不思議な力」以外にもある。それは、大切にしている言葉。昨年12月、元メジャーリーガーのイチローさんから指導を受けた時だった。

「プレッシャーがかかる中で結果を出すことで自信につながる」

 重圧と戦い、結果を出し続けたイチローさんからの言葉。高嶋の心に刻まれた。

【次ページ】 「イチローさんの教えのおかげで」

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