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「私が対応できたことでどんどん流れが…」水谷隼の長年の“使命”「打倒中国」を呼び寄せた、伊藤美誠の“恐れを知らない強心臓”とは 

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高樹ミナ

高樹ミナMina Takagi

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photograph byTakuya Matsunaga/JMPA

posted2021/07/28 20:01

「私が対応できたことでどんどん流れが…」水谷隼の長年の“使命”「打倒中国」を呼び寄せた、伊藤美誠の“恐れを知らない強心臓”とは<Number Web> photograph by Takuya Matsunaga/JMPA

決勝の終盤は中国ペアを圧倒した水谷と伊藤。最強ペアを破り、日本卓球史上初の金メダルを獲得した

 許昕/劉詩雯ペアに対する勝利は、男子でも受けるのが難しい許昕の、ペンホルダーが放つ独特の軌道のボールに伊藤が対応できたことが大きい。伊藤もそれを自覚する。

「許昕選手のボールを回り込んで打ったりする場面も何度かあって、決まったときにはすごく気持ち良くて。許昕選手のボールに私が対応できたことによって、どんどん流れは変わっていきました。あとは水谷選手がコースを突いてくれたり、思い切り打ってくれたりして、許昕選手に100%の力で打たせないことができたんじゃないかと思う」

 果たして許昕は伊藤のプレーをどう感じただろう。

「女性選手の中でも世界一流。試合が進むに連れて私のボールに慣れていった。相手が男子選手でもまったく恐れない彼女はとても勇敢だ」

 記者会見でこう語った許昕は恐れを知らない伊藤の態度を「つま先からつま先まで」と表現した。日本語で言うところの、頭からつま先までという意味だろう。

「明日起きたときに、まだそばに金メダルがあれば嬉しいです」

 そんな強心臓の伊藤も準々決勝のドイツ戦で窮地に立つ場面があった。

 そんなときは水谷がカバーし、伊藤に声をかけ、逆に水谷が振るわないときは伊藤がカバーして厳しい戦いを2人で乗り切った。その先に待っていた光り輝く金メダル。

 水谷の言葉がその重みを物語る。

「本当に夢の世界にいるよう。明日起きたときに、まだそばに金メダルがあれば嬉しいです」

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