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「僕は元々、くそネガティブ」 メジャー2年目はスタメン僅か“14試合”…秋山翔吾は“数字”で出場への「世論」を作れるか? 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2021/07/18 17:01

「僕は元々、くそネガティブ」 メジャー2年目はスタメン僅か“14試合”…秋山翔吾は“数字”で出場への「世論」を作れるか?<Number Web> photograph by Getty Images

オープン戦での怪我から代打、守備での出場が続く秋山翔吾。後半戦でのスタメン奪取はなるか

「初球のカットボールでバットが折れるとしても」

 秋山は5月に復帰後、代打や守備固めなどの途中出場で打率.221と調子が掴めないまま、前半戦を終えている。

「たとえば代打で真っ直ぐに合わせて、初球のカットボールを振ってバットが折れるとしても、ストライクが3球しかない中では勝負を懸けなきゃいけない。スタメンなら、真っ直ぐだけでタイミングを取ってカッターでやられた時に『そりゃそうだよな、初球から振ってくる感じ出しちゃってたもんな』って考えて、カッターに気をつけて、逆に甘い真っ直ぐを見送ったりっていう打席もあるわけです。代打の時は僕自身に余裕がないから、一球で終わっても、それはもう仕方ないです」

 秋山は、「いまだにそんなに慣れてはいないんですけど……」と言葉を続けた。

「『あ、誰かが休む日に出ていくんだな』っていう考えに至るまでに、すごく時間がかかりましたよね。そうなったのは本当、この2、3週間のことだと思う。愚痴じゃないけど、不満と言うか、自分の中でどうしても整理できないこともあるんで……。申し訳ないけど、ルーク(通訳のルーク篠田氏)にはたぶん……『そんなこと俺に言われても』ってことまで言ってしまってるなと思います」

「僕は元々、くそネガティブ」

 やり切れない思いはしかし、気持ちが折れることには繋がらなかった。

「かっこよく言えば、家族がいるから。日本で通っていた幼稚園から子供たちを引き剥がし、嫁さんを友達とか家族とかからも全部引き剥がして、今僕が野球をやるためだけにシンシナティに来ているんです。家族の他にもルークとか、トレーナーの山本(健)さんとか、いろいろとサポートしてくれている人がいるから野球がやれているわけで。それなのに僕が『もう何やっても無理!」と態度に出して、たまに試合に出ても無気力で、エラーしても悔しがりもしないとか、そんな姿を見せてしまえば、『お前のためにいろんな人が動いてるんだよっ! お前がやるって言って、必要だから、周りの人たちもやってくれているんだろがっ!』てことになる」

 秋山は言った。「もっと前から、そういう人たちに目を向けておくべきだった」と。

「控えでいきなり結果を出そうが、ミスしようがまったく変わらずにやってるやつが凄いんですよ。こういう立場になったんでよく分かるけど、ライオンズ時代も選手だけじゃなく、裏方さんだって、どんな時も変わらない人がいた。ここにも僕の精神状態がどうであれ、まったく変わらないで仕事をやり続けてくれる人がいる。だから、出てる時も出てない時も僕はなるべく変わらないようにしています」

【次ページ】 ゴスペルと言うよりは、“泥臭い”ブルース

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