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“アジアの至宝”右代啓祐(34)が大勝負に出た! 日本選手権を棄権して狙う東京五輪の切符「最高の準備を行い、待つしかない」

posted2021/06/03 17:00

 
“アジアの至宝”右代啓祐(34)が大勝負に出た! 日本選手権を棄権して狙う東京五輪の切符「最高の準備を行い、待つしかない」<Number Web> photograph by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

日本選手権を棄権し、スペインの国際大会へ出場する右代啓祐。7月で35歳となるベテランが3度目の五輪出場を懸けて勝負に出た(写真は2020年日本選手権)

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田中大貴

田中大貴Daiki Tanaka

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Naoki Nishimura/AFLO SPORT

「これが自分にとって最善策であり、陸上人生を振り返った時、後悔しない選択だと思いました」

 陸上・十種競技の日本記録保持者(8308点)で、3度目の五輪出場を目指す右代啓祐(34歳)は、6月12日から始まる日本選手権を棄権し、同時期に行われるスペイン・テネリフェ島で行われる国際大会に出場することを発表した。

「日本選手権で3位以内かつ派遣標準記録である8350点をクリアすれば、その中から五輪出場の内定選手が発表されます。ただ、その他の出場条件として、各種目のワールドランキングがあります。基準をクリアすれば、日本陸上競技連盟による理事会で五輪出場の内定が通知される。僕は今回、このワールドランキングによる五輪出場条件を勝ち取るため、6月にスペインへ経つことを決断しました」

 右代は2016年に8160点をマークして以来、8000点を超える記録を残せていない。そこで右代が考えたのはワールドランキングによる出場を狙うことだった。

欧州の大会は高ポイントを得られる

 右代が目指す陸上・十種競技のワールドランキングによる五輪出場枠は24番以内(1国3名)。右代は5月25日時点でランキング32位(1189ポイント/28番目)に位置している。24番手にあたる選手のポイントは1209ポイントと、その差はわずかに見えるが、実はアジアとヨーロッパの大会では獲得ポイント数が大きく異なるという。

「日本選手権で取れる優勝ポイントは60点ほどで『Bランク』と呼ばれる大会に位置します。一方、ヨーロッパで行われている大会は『GLランク』と言われ、優勝すれば110点ほどが獲得できます。アジアで見ていくと、アジア選手権が『GLランク』に位置しますが、今年はコロナ禍により5月のアジア選手権は中止に。アジアの選手たちにとってはランキングを上げるチャンスがなくなり、悩ましい状況が続いています」

 コロナ禍の影響でアジア圏の国際大会が軒並み中止となるなか、一方でイタリア、オーストリアなどヨーロッパでのGLクラスの各大会は粛々と行われていた。着々とポイントを重ねたヨーロッパ勢は、ランキング上位を占拠しているのが現状だ。

【次ページ】 梅雨に差し掛かる6月開催の懸念

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