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“50本塁打&128打点”ペースの大谷翔平はベーブ・ルースと“タイプが似てる”? 「元祖二刀流の最盛期」はどれだけスゴかったのか

posted2021/05/28 11:02

 
“50本塁打&128打点”ペースの大谷翔平はベーブ・ルースと“タイプが似てる”? 「元祖二刀流の最盛期」はどれだけスゴかったのか<Number Web> photograph by Getty Images

日本人歴代最速ペースでホームランを量産している大谷翔平

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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 大谷翔平=Shohei Ohtaniがどれぐらい、メジャーリーグ(MLB)に衝撃を与えているのかは、エンゼルスにまったく関係のないMLBチームの生中継を見ていれば分かることだ。

すっかり浸透して「二刀流」は“過去の話”に

 たとえば5月18日のレッズ対ジャイアンツ戦の五回表のこと。すでにジャイアンツの攻撃が始まってるというのに突然、レッズの中継テレビ局の画面がエンゼルス対インディアンス戦に切り替わり、大谷が高めのボール球を豪快に振り抜いて13号本塁打にしたシーンが映し出されたりする。シンシナティだけじゃない。そういうことがクリーブランドやピッツバーグでも立て続けに起こった。

 とどのつまり、どこのチームの中継局であろうが、一刻も早く「Shohei Ohtaniがまたホームランを打ちました!」と伝えたいのだ。それぐらい、「Ohtani」と「Homerun」は同義語のようになっている。「Ohtani」が「Two way player≒二刀流」だという物珍しさはすっかり過去の話となり、大谷=ホームランというイメージが定着している。スポーツ専門局のESPNでも、プロ野球専門のMLBネットワークでも、大谷のホームランの飛距離がアンビリーバボーだとか、打球速度が今季メジャー最速だとか、「ジャパニーズ・メディアかよっ!?」とツッコみたくなるぐらい頻繁に取り上げられていて、すっかり「スーパースター扱い」である。

 そうした流れのなかで、ベーブ・ルースとは同じ二刀流としてではなく、今は「ホームラン」だけで比較されるようになった。それはかつてMLBの本塁打記録=通算714本塁打とシーズン60本塁打記録を保持していたホームラン王が二刀流でもあった2年間の成績を凌駕しつつあるからだ。

ルースの「二刀流」は“実質2年間”

 ルースが投手としての登板の合間に、外野や一塁を守りながら主軸打者としても活躍するようになるのはメジャー5年目からの2年間=1918年と1919年である。当時のアメリカン・リーグ(AL)にはまだ指名打者制度は導入されておらず、投手としてレッドソックスに入団したルースも、メジャー最初の4年間は野手としての出場記録はない(代打はある)。ヤンキースにトレードされた1920年からは、打者・ルースがホームランを量産して国民的英雄となるわけで、投手・ルースは1920年と1921年に計3試合のみ登板。それ以降は完全に「打者一筋」となり、1930年までルースの登板記録はない。

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ロサンゼルス・エンゼルス
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