「だけどいつかは横浜スタジアムの9回をしっかりと投げたい。これまでヤスアキジャンプで始まり、ウイニングボールを手にすることをやりがいに感じてきましたし、この先どうなるかわかりませんが、少なからず悔しい思いを抱えながら今もマウンドに立っているというのは、はっきり言えることです」

　もうこれ以上は訊かなくていいだろう。いつの日か、しかるべきタイミングが来たら、また山崎と向かい合いたい。

「今年は頑張っているな、という姿を見てもらいたい」

　若干空気が重くなったが、インタビューの最後、山崎にファンに向けてメッセージをとお願いするとパッと表情を輝かせた。このあたりはさすがサービス精神旺盛というかプロフェッショナルである。

「昨年は苦しい状況がつづき僕自身モヤモヤしたところがありましたけど、今年はそれを乗り越え楽しさを感じつつ投げることができています。コロナ禍で世界的にも厳しい状況ではありますが、去年ヤスアキ調子悪かったけど今年は頑張っているな、という姿を見て元気になってもらいたいですし、勇気あふれるプレーをしたいと思います」

　ピッチングのとき、腹の底から出る地鳴りのようなうなり声。気持ちもろとも全力で、今日も渾身のストレートをきわどいコースに投げつづける。