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30歳7年目の倉本寿彦を奮い立たせる“妹・美穂さん”とは?「妹に喜んでもらえるような活躍をしないと」

posted2021/04/25 17:02

 
30歳7年目の倉本寿彦を奮い立たせる“妹・美穂さん”とは?「妹に喜んでもらえるような活躍をしないと」<Number Web> photograph by KYODO

昨季は82試合に出場し、打率.276、1本塁打、17打点。4月8日の中日戦では途中出場ながら9回に適時打を放つなど、レギュラー定着をうかがっている

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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 今シーズン、横浜スタジアムを見回しているとピンク色のフェイスタオルを持っている人を多く見かける。そこには『倉本寿彦』とプリントされ、中央には神奈川県茅ヶ崎市のシンボルである“えぼし岩”が描かれている。

「あれ、いいですよね。目立っていて」

 横浜DeNAベイスターズの倉本寿彦はそう言うと、少し恥ずかしそうな表情で笑った。

 昨年9月、地元・茅ヶ崎で倉本の後援会が発足したのだが、ピンク色のフェイスタオルは会員特典なのだという。

「思っていた以上にスタンドでタオルを掲げてくれる人がいますし、また後援会に多くの人が入ってくれて、本当にうれしいです。気にかけてくれる人がいるというのは、とても力になりますからね」

いま、バックヤードはどんな雰囲気なのか?

 入団7年目の30歳。レギュラーとまではいかないが、倉本はミートに優れたシュアなバッティングが持ち味であり、ショートとサードを守れる、チームにとって必要不可欠な存在だ。今季は開幕からベンチ入りしているが、チームはご存じのように連敗を重ね、非常に厳しい状況にある。幾度となく大型連敗を経験してきたチームではあるものの、昨今ベンチ内やバックヤードはどのような雰囲気なのだろうか。そう問うと倉本はしばし考え、口を開いた。

「朝、ロッカーに行くとみんな元気ですし、ちゃんと切り替えてやっていますよ。(選手間で)ミーティングも行っていますし、苦しいときですが前向きに取り組んでいます。ひとつのヒット、そしてひとつのアウトの積み重ねが勝利に繋がるというのはわかっていますし、なかなか上手くはまわっていないけど、選手ひとり一人は勝つために自分がなにをすべきか理解しています。負けていることは事実ですが、そこもしっかり受け入れ、一歩ずつ前に進めればと思っています」

 芯のある言葉。チーム生え抜きの野手としては宮﨑敏郎に次ぐ年長者である倉本は、気がつけば積極的に仲間に声掛けをしているという。例えば、普段あまり交わることのない投手陣とロッカーで一緒になれば、自然に言葉をかわすなど、チームのことを考えて行動をしている。

「思い入れは他の人とはちょっと違いますよね」

 倉本は基本的にマイペースでシャイなタイプなのだが、そんな姿勢を鑑みふと思い出したのは、横浜高校の4学年上の先輩であり、昨シーズンかぎりで引退した石川雄洋のことだ。さりげなく言葉を交わし、仲間に元気を与える存在――そんな人でしたよねと倉本に問うと、納得したようにうなずいた。

【次ページ】 倉本にとって「石川雄洋」とは?

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