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<今季初メジャーどうだった?>世界ランク103位の21歳タイ人が“完全優勝”…予選落ちの渋野日向子ら、日本勢の収穫とは 

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南しずか

南しずかShizuka Minami

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posted2021/04/06 06:00

<今季初メジャーどうだった?>世界ランク103位の21歳タイ人が“完全優勝”…予選落ちの渋野日向子ら、日本勢の収穫とは<Number Web> photograph by Getty Images

今季初メジャーとなった「ANAインスピレーション」では予選落ちを喫した渋野日向子

 ただ、前述の通り、首位を走り続けたのは世界ランク103位の伏兵・タバタナキットだった。しかし、タバタナキットはアメリカの大学のゴルフ部に所属したのち、下部ツアーでプレーするという段階を経て、レギュラーツアーのシード権を手に入れているプレイヤー。21歳とはいえ、ANAインスピレーションは今年で通算4回目の出場となり、結果を出すには十分な下地があった。

 さらにドライバーの平均飛距離はトップの323.00ヤードを叩き出し、アプローチもパットも噛み合った。もう1つバーディをとれば、1999年のドッティ・ペッパー(米国)が記録した4日間の最小スコア「19アンダー」に並ぶというパーフェクトの出来。

 そんな条件下で国内ツアーを主戦場とする若手の日本勢に、同じような結果を求めるのは少し酷な話でもある。

 17年から米ツアーに参戦する畑岡も、最初の2年間は苦戦を強いられた。世界ランク8位(4月5日現在)は本人の努力の賜物である。そういう意味では他の日本人選手との差を見せつけられる大会であったはずだが、直前の2試合でも予選落ちを喫するなど本調子からは程遠い状態で迎えただけに“らしい”ゴルフを見せることができなかった。

 元世界アマチュアランキング1位で、今大会のラウンドレポーターを務めた片平光紀は「(スイングの)トップの位置が低くなっていること」と分析する。

「練習場では、本人が望むスイングができているので、本当にちょっとしたきっかけで、スコアに繋がると思います」(片平)

 微調整ができれば、優勝争いに加わる実力は十分にあると見ている。

日本人最高位の河本は「成長」を実感

 今大会で日本人最上位となった河本は、昨季よりも着実にレベルアップしていることを見せつけた。試合後のインタビューで、最終日同組で回った世界ランク5位のダニエル・カンのどこからでも狙っていくプレーに刺激を受けたとも語っている。

「(ダニエル・カンの)ウェッジの使い方がやばいなっていうシーンがあり、まだまだ引き出しを増やしていかなきゃいけないと思うんですけど、本当に自分もよく成長できているなと感じました」

 本人も感じる手応えに、片平もうなずく。

「元々、打ち分けが出来る器用な選手ですが、昨季よりアプローチの種類がすごく増えていました。例えば、最終日の5番(パー3)の第2打。ピンまで30ヤードのバンカーショットを完璧な位置に落として転がし、タップインパーみたいな。転がしたり、上げたり、深いラフからスピンをかけたりとか。その都度、状況判断もしっかりして、上手くなっていますね」

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