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プロゴルファー宮里美香が語る【断食】…準備と回復を合わせて3週間「体をリセットするためです」 

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南しずか

南しずかShizuka Minami

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photograph byAtsushi Tomura/Getty Images

posted2021/02/21 06:02

プロゴルファー宮里美香が語る【断食】…準備と回復を合わせて3週間「体をリセットするためです」<Number Web> photograph by Atsushi Tomura/Getty Images

今季で国内ツアー参戦3年目を迎える宮里美香。オフに行ったファスティングの効果でコンディションは良好のようだ

地元沖縄で「酵素ファスティング」

 今オフの1月は、地元の沖縄で「酵素ファスティング」を行った。その手法を教えてくれた。

 ファスティングにおいて大切なのは準備期間と回復期間を設けることだと宮里はいう。急に固形物を断つことは体に負担をかけるため、計3週間を準備期間→酵素ファスティング→回復期間と3つのターンに分けて取り組んだ。

 準備期間は動物性脂肪、油っぽい料理、アルコール類、甘いものなどを徹底的に控え、間食もなるべく避ける。ファスティング期間に突入すれば、摂取するのは1日の必要最小限のカロリーと栄養素を含んだ発酵ドリンク(500ml)だけ。空腹を感じる度に、そのドリンクを水で割ったものを、こまめに飲む程度だ。

「初日と2日目は、やっぱりお腹が空いてシンドイですよ。テレビをつけると、食に関する番組やコマーシャルを目にして、空腹を意識してしまう。だから、仕事や家事など何かしら動いていた方が、気が紛れると思います」

 2日目は空腹に加えて宮里は頭痛がする時もあり、中には倦怠感や吐き気を感じる人もいるというが、基本的には一時的な症状。万が一、体調不調が続いたら無理をせず中止することも大切だと話した。

欠かさない朝の散歩は1時間以上

 ファスティングの期間中、宮里が欠かさないのが朝の散歩だ。1時間以上歩くことで、朝日をしっかりと浴びることができ、体内時計をリセット。夜に眠くなるリズムが整うのだという。

「最近は6、7時間以上寝られませんが、(今回のファスティング期間中は)10時間以上ぐっすり眠っていました。しかも、一度も目が覚めることなく……さすがに自分でもびっくりしています(笑)」

 ファスティング期間はゴルフの練習は普段通りに行うが、トレーニングは重い負荷を避け、自重トレーニングのみに留めている。

 ファスティングの1週間を終えたら、最後は回復期間。最初に摂取する食事は、味付けなしのお粥だ。

「1週間、固形物を食べていないので、むちゃくちゃ美味しいんですよ」

 その後は豆腐、納豆、ひじきなど良質なタンパク質を摂取できて、胃にやさしい食材から取り入れる。食べ物を口にしていないことで体は一時的に軽くなっているが、十分なタンパク質を摂取できていないため、筋肉量が減っているのだという。まずは食事のサイクルを戻し、徐々にトレーニングにも負荷を与え始めていくのだという。

回復期間のおすすめは「ゆし豆腐」

 今回の3週間を終えた宮里は、改めてその効果をこう話す。

「ファスティング後、普通の食事をしたときに、味が濃すぎて、食べられませんでした。体が拒否したというか。だから、改めて自分が普段食べるものや食事の適量について、考える良いきっかけになりました」

 回復期間はもちろんアルコール類などは口にせず、アーサ汁(あおさ汁)や“ゆし豆腐”といった沖縄料理、また玄米、野菜、魚などヘルシーな食生活に。ちなみに“ゆし豆腐”とは、豆乳ににがりを加えただけのおぼろ豆腐より柔らかい豆腐。沖縄のスーパーには当たり前のように並んでいるといい、「体にやさしくて美味しいですよ。沖縄にいる時は、よく食べます」とファスティング明けの食材としておすすめしてくれた。

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