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大坂なおみの写真削除、ジョコに「かっこつけの馬鹿」批判… なぜ全豪は開催前から“大炎上”なのか 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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posted2021/01/25 17:02

大坂なおみの写真削除、ジョコに「かっこつけの馬鹿」批判… なぜ全豪は開催前から“大炎上”なのか<Number Web> photograph by Getty Images

練習場入りするメルボルン組の選手たち。全豪開幕前から“練習格差”が生まれている

 現場の混乱を示すように、練習が許されている多くの選手たちもなかなか練習に出る許可が出なかったというが、72選手にいたっては、窓も開かないホテルの部屋から廊下に出ることも禁じられているという。単なる運が分けた差としてはあまりにも大きく、何人もの選手から怒りと絶望に満ちた言葉が発せられたのは無理もない。

錦織の不安の吐露は実に控えめな方である

 不運の72人の一人になってしまった錦織圭は、自身の公式アプリを通して「2週間じっとしていたあとに試合をするのはリスクしかない」と不安を吐露したが、これなど実に控えめなほうである。

「こんなルールは聞いていない。知っていたら来なかった」(ソラナ・シルステア)、「Wi-Fiがあることを除けば、囚人と同じ」(バウティスタ・アグート)、「頭おかしいとしか思えないルール」(アリゼ・コルネ)など、オーストラリア政府や協会を批判するコメントがSNSやメディアのインタビューなどで次々と発せられた。

 なお、メルボルンのあるビクトリア州の州首長は、「州の隔離規則は事前に全て伝えられているはず。それが入国の条件だった。ウイルスがテニスプレーヤーを特別扱いしないのと同様に、我々もテニス選手だけを特別扱いすることはできない」と断固とした姿勢だ。

大坂の“マスクなしのチーム写真”は、やや迂闊

 そのタイミングで、大坂が全員マスクなしのチーム写真を投稿したことはやや迂闊だった。

 メルボルンの選手は1日5時間に制限された練習に、一人しか同行させられない。入国できる帯同者も2人までという規則があった。全豪オープンのトーナメント・ディレクターであるクレイグ・タイリー氏は、「アデレードでもメルボルンでも同様の隔離が義務付けられる」と説明していたはずだが、待遇の差は歴然。ただ、大坂がそれを出さなければ何事もなく済んだというわけではないだろう。

 ジョコビッチが広々としたバルコニーでくつろいでいる姿や、セリーナがヒッティング・パートナーという名で同行した姉のビーナスも含めた大所帯でホテルに入る様子なども、ネット上で流れている。

イベント発表時から不満を語った選手も

 また、現実を目にするまでもなく、1月9日にイベントの概要が発表されたときから不満を語っていた選手もいる。たとえばフランスのジェレミー・シャルディだ。

【次ページ】 ジョコの行動に悪童キリオスが噛みつく

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