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ランパード解任論はあり得ない! コロナ禍での指揮官続投が新しいチェルシー像を確立できる根拠 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2021/01/10 11:00

ランパード解任論はあり得ない! コロナ禍での指揮官続投が新しいチェルシー像を確立できる根拠<Number Web> photograph by Getty Images

チェルシーのレジェンドであるランパード監督。彼の思い描くスタイルはピッチで具現化されるのか

 適所と思われるトップ下ではなく、インサイドハーフでイマイチ存在感を出せていないハバーツは、開幕前のチーム練習参加5回で始まった移籍1年目にコロナウイルス感染による戦線離脱も余儀なくされた。

 ジエシュは本職のウインガーで起用されているが、怪我で出遅れた。

T・シウバ、ジルーがいても先発の平均年齢26歳

 このようにチーム作りに割く時間が非常に少ない現状も、ランパードの評価では考慮されるべきだ。監督としての実績でもチームの完成度でもはるかに格上のユルゲン・クロップ、ペップ・グアルディオラも、極めて限られた時間のなかでは思うような結果を残せていない。

 そのうえランパードが抱えるチームは、個々の能力や経験においてもトップレベルでは発展途上の段階にある。前述の新攻撃陣も、3名の平均年齢は24歳。昨季唯一の新顔で、怪我に悩まされているクリスティアン・プリシッチを加えると0.5歳下がる。内容的にも納得できる勝利を収めたリーズ戦では、最終ラインに36歳のT・シウバ、最前線に34歳のオリビエ・ジルーがいても、先発イレブンの平均年齢は26歳だった。

 1月10日で22歳のMFメイソン・マウント、前月に21歳になったばかりのDFリース・ジェイムズ、昨季末に膝を痛めていなければ、19歳のアンカーとして出場時間を増やしていただろうビリー・ギルモアなどの若手色はランパード体制の大きな特徴であり、「新チェルシー」と呼ばれる最大の所以でもある。

 同時に、ユース出身者によるチーム構成とクラブ独自のカラーを打ち立てることを求めるフロントの意向に沿う要素でもあるはずだ。

若いチームには成長の痛みが付き物

 若いチームには、教訓となる成長の痛みが付き物。先のマンC戦にしても、経験豊かなチームであれば、相手の出足の鈍さにつけ込み、少なくとも完敗のシナリオは免れていたかもしれない。

 例えばロドリへの対応。マンCのボランチは立ち上がり不安定に見えた。ビルドアップの精度を欠き、慌てた守備であわやPK献上というシーンもあった。勝負のノウハウを知るチームであれば容赦なくロドリに照準を定め、プレッシャーを強めてミスを誘い、先制点を奪う過程で餌食にしたに違いない。

 ところがチェルシーは前半18分、マイボールで余裕があったロドリのパスをきっかけにマンCに先制点を奪われてしまったのだ。

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