新刊ドラフト会議BACK NUMBER

『Thinking Baseball 慶應義塾高校が目指す“野球を通じて引き出す価値”』慶應高校野球部監督が問う“考える”野球の大切さ。 

text by

松永多佳倫

松永多佳倫Takarin Matsunaga

PROFILE

photograph bySports Graphic Number

posted2021/01/05 07:00

『Thinking Baseball 慶應義塾高校が目指す“野球を通じて引き出す価値”』慶應高校野球部監督が問う“考える”野球の大切さ。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『Thinking Baseball 慶應義塾高校が目指す“野球を通じて引き出す価値”』森林貴彦著 東洋館出版社 1400円+税

 全国高等学校体育連盟(高体連)において、高校の団体競技の部活動で加盟していないのは、野球とアメフトのみ。つまり高校野球とは、はじめから特殊なものなのである。ただ、今や特別な存在としてひとり歩きしていることは問題だ。

 本書を通読すると、選手たちへの指導方法だけでなく、長年高校野球が抱えている問題にも警鐘を鳴らしている。例えば、勝利至上主義は選手たちの個性を埋没させ、大事な将来までも危うくさせるということは、30年前から言われ続けていることだ。

 著者は慶應大学卒業後、NTT勤務を経て、現在は慶應幼稚舎の教員を務めながら慶應高校野球部を率いている。そうした経験からか、一般社会人の目線から高校野球の意義を見出している。困難を乗り越えて成長というプロセスを経験できるのが高校野球の価値だと信じ、選手の人生の可能性を狭めない指導を行っている。

こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
NumberWeb有料会員になると続きをお読みいただけます。

残り: 605文字

NumberWeb有料会員(月額330円[税込])は、この記事だけでなく
NumberWeb内のすべての有料記事をお読みいただけます。

関連記事

森林貴彦
慶應義塾高校

高校野球の前後の記事

ページトップ