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またも白鵬・鶴竜不在の11月場所、やはり“優勝本命”は… 大関・朝乃山&貴景勝にチャンスはある? 

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荒井太郎

荒井太郎Taro Arai

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posted2020/11/08 11:00

またも白鵬・鶴竜不在の11月場所、やはり“優勝本命”は… 大関・朝乃山&貴景勝にチャンスはある?<Number Web> photograph by KYODO

10月の合同稽古に参加した白鵬(左)と正代(両国国技館の相撲教習所で)。白鵬は11月場所を休場する

既存の大関陣 朝乃山&貴景勝のチャンスは?

 横綱陣が休場がちの昨今、本来なら大関がしっかりと場所を引き締めるべきなのだが、今年に入って2度も幕尻優勝が出るなど、誰が優勝してもおかしくない展開が続いている。大関の優勝となると平成29年1月場所の稀勢の里まで遠ざかるが、そんな流れもそろそろピリオドが打たれるのではないだろうか。

 正代の大関昇進で先輩の大関陣である朝乃山、貴景勝も刺激を受けているのは想像に難くない。責任が分散されて心のどこかで余裕が生じ、かえって本来の相撲が伸び伸び取れるのではないか。

 大関昇進以降、12勝、10勝と数字上は大関として“及第点”の結果を残している朝乃山だが、先場所は初日からよもやの3連敗を喫した。2横綱が揃って休場、さらに貴景勝は途中休場明けという状況で出場力士中、番付最上位の自分が優勝しなければとの思いは空回りしてしまった。また、先々場所、先場所と終盤に手痛い連敗を喫するなどメンタル面が課題と言えそうだが、右四つに組み止めて左上手を引きつけて前に攻める本来の相撲を取り切れば、結果はおのずとついてくるはず。大関3場所目となる今場所は、12月に65歳の定年を迎える師匠の高砂親方(元大関朝潮)にとって最後の本場所。まな弟子として餞の優勝を捧げたいところだ。

 貴景勝も先場所は大関としては自己ベストの12勝をマーク。これまでケガに泣かされ続けてきたが復活の兆しを見せ、2年ぶりの賜盃を狙っている。3人の大関陣に加え、関脇以下の力士がどれだけ優勝戦線に絡めるか。注目は三役に返り咲いた照ノ富士、髙安の元大関の2人。コロナ禍で出稽古禁止の中、関取が多数在籍する伊勢ケ濱部屋で照ノ富士はしっかり稽古を重ねてきた。髙安も連日、荒磯親方(元横綱稀勢の里)の胸を借り、仕上がりは順調のようでともに大関復帰に向けた足場作りの実績を残したい。

 新関脇には急成長中の隆の勝が昇進。押し相撲を愚直に磨いてきた25歳は、一発で相手を圧倒する爆発力を秘めているだけに優勝戦線のカギを握る存在になるかもしれない。

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