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カーショーの復調とドジャースの勝機。ポストシーズンに弱い大投手が“逆襲”を始めた! 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2020/10/24 06:00

カーショーの復調とドジャースの勝機。ポストシーズンに弱い大投手が“逆襲”を始めた!<Number Web> photograph by Getty Images

過去3度サイヤング賞を受賞しているカーショー。ポストシーズンに弱いという汚名を返上し、ドジャースを勝利に導けるか

 カーショーの武器は、スライダーとカーヴである。投球比率でいうと、フォーシームが41%、スライダー40%、カーヴ19%というデータがあるが、加齢にしたがってフォーシームの球速はかなり落ちてきた。2019年などは、90マイルを切ることさえ珍しくなかった。

 今季開幕前、球速の衰えを自覚したカーショーは、モーションの修正に取り組んだ。球速が衰えたのは左腕の振りが遅くなったためだが、下半身と体幹を鍛え、投球時にずれていた両者の同期を改善すれば、球の回転数を増やしたり、球速を取り戻したりすることも可能になるのではないか。

 そう考えてエクササイズに励んだ成果は上がり、フォーシームの球速は91~92マイルに戻った。同時に、スライダーやカーヴの回転数も上がり、明らかに切れがよくなった。

今年の通算防御率は「4.22」にまで改善

 もうひとつ、カーショーの投球術には謙虚な学習の跡が見られた。

 対レイズ戦の立ち上がり、カーショーの投球はどこか手探りしているような感じだった。1番のヤンディ・ディアスに右前安打を許し、3番のランディ・アロザレーナを歩かせたときは、テレビ・キャメラも、ダグアウトで不安げな表情を浮かべるデイヴ・ロバーツ監督の姿を映し出したほどだった。

 カーショーも迷っていたはずだ。スライダーは何度かワンバウンドし、速球の伸びもよくない。見ていて不吉な予感が胸をよぎったが、そこから先の修正が早かった。スライダーの制球がよくないと見るや、カーショーは積極的にカーヴを織り交ぜはじめたのだ。

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