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樋口新葉の3アクセル「応援のおかげ」 有観客のジャパンオープン、拍手に背中を押されて 

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野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

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photograph bySunao Noto

posted2020/10/11 11:02

樋口新葉の3アクセル「応援のおかげ」 有観客のジャパンオープン、拍手に背中を押されて<Number Web> photograph by Sunao Noto

演技を終え観客の声援に手をふって応える山本草太。山本や樋口らのチームブルーが勝利して大会を終えた

大トリを飾ったのは樋口新葉

 昨季の全日本3位の川畑和愛も、美しく重厚感のある滑りで存在感を示す。

「男子の演技を見ていたときは緊張しました。仲の良い仲間がたくさんいる試合だったので、みんなを応援していました」とにっこり。

 そして大トリを飾ったのは樋口新葉。すべての観客と選手達の期待を背負うような形で、リンクに登場した。

 トリプルアクセルの練習での成功率は、実に80%。四大陸選手権やドリーム・オン・アイスでは6分間練習ですでに成功させており、本番での成功は時間の問題だった。

 一方で、思い切り飛距離を出し、しっかりと回転しきれるようになったぶん、転倒したときのダメージも大きくなり「最近は、トリプルアクセルが怖くなってきた」と感じていた。

「『試合をしているな』という感じをつかめました」

 そして1292人の観客が見守るなか、演技冒頭にトリプルアクセルを跳んだ。見事な回転で、「これは降りた!」と思わせる“踏み切り”と“空中姿勢”だったが、勢い余ってオーバーターン。片足での着氷のまま踏ん張った。

「今日跳ぶと決めていたトリプルアクセルを降りられたことは、すごく自信に繋がります。久しぶりの試合でお客さんもたくさん見てくれていて緊張もしましたが、応援のおかげで力を出す事が出来ました」

 演技後半に2つほどミスはあったが、この日の目標であるトリプルアクセルで手応えを得たことが、何よりの収穫だ。改めて、観客のいる会場を見渡して樋口が話す。

「前回(2016年の)ジャパンオープンに出場させていただいたときは、すごく緊張して自分の力を発揮できずに終わってしまいました。今回は大きな会場でお客さんのいる中でアクセルを跳んだので『試合をしているな』という感じをつかめました」

【次ページ】 NHK杯には豪華メンバーが揃う

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