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19歳安田祐香が描くゴルファー像。
「キレイな女性に」の真意とは? 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYoichi Katsuragawa

posted2020/08/04 07:00

19歳安田祐香が描くゴルファー像。「キレイな女性に」の真意とは?<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

「プラチナ世代」の1人として期待を背負う安田祐香。アース・モンダミンカップでプロデビューを飾った。

ずれ込んだデビュー戦は28位タイ。

 そうは言っても、記念すべきプロ初戦がこれほど遅れるとは思ってもみなかった。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、開幕戦は6月末までずれ込んだ。

 無観客で行われたアース・モンダミンカップは、予選通過の危機に瀕した2日目の最終ホールでバーディを奪って決勝ラウンド進出を決め、28位タイ。

「試合勘はすぐ取り戻せたけれど、耐えるゴルフになりました。でも、(調子が)悪いなりに良いところもあって」

 安堵感も、不完全燃焼への不満も入り混じったデビュー戦だった。

 所属契約を結ぶNECをはじめ、彼女のウエアにはあらゆる企業ロゴがひしめく。ファンと対面できないいま、プロになったことをふと自覚するのはそれらを眺めたときである。
「スポンサーさんが付いてくださったことで、実感がわいてくるようになりました」

 思えば、実力もさることながら、愛らしさに大人っぽさも混じるビジュアルも相まって(そしてコロナ禍で明るい話題が乏しいことも絡まり合って)、開幕前の注目度は新人にして異様なほど高かった。奇しくも2試合目は、ホステス大会となる8月のNEC軽井沢となり、期待をさらに背負うことになる。

「結果は後からついてくるもの」

 ただし、安田自身にアイドル然とした、浮ついた様子があったかと言えば、そうでもなさそう。

 デビューを迎えるにあたり、彼女はあらゆる場所で目標を問われたとき、「パーオン率80%以上」、「3パットをしない」……といった技術的なスタッツに一貫して言及し続けた。早く優勝したい、シードを取りたい……そういう、耳触りの良いターゲットではなく、だ。

「試合の結果よりもフェアウェイキープとか、パーオン率を大事にしているので。(アマチュア時代)そこが良ければ、上位で争えていました。達成できれば、自然と優勝争いもできるかなあと思っているんです。優勝はしたいです。でもまずは、そのための目標をクリアしたい。結果は後からついてくるものだと」

 ゴルフは競争相手を邪魔できない。どんなに自分が会心のプレーでロースコアを並べても、ライバルがそれ以上のプレーをすれば勝てない。さらに言えば、安田はこのスポーツの難しさについて「調子が良くても完璧がない。自然に影響されて、雨でも風でもやるところが大変」と言う。勝敗の行方は運に頼るところも大きい。個人スポーツとはいえ、プレーヤーにできることは限られている。

 だからこそ、結果を導くためのプロセスをトップアマ時代から重視してきた。小学生の頃、翌朝のティオフを目がけて、足元の行動を大事にしたように。

【次ページ】 「プラチナは……まだ豪華だなあ」

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