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本田圭佑、移籍2戦目で主将の信頼と
現地評。コロナ禍での再開に疑問も。 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byVitor SILVA/Botafogo/AFP/AFLO

posted2020/06/30 20:00

本田圭佑、移籍2戦目で主将の信頼と現地評。コロナ禍での再開に疑問も。<Number Web> photograph by Vitor SILVA/Botafogo/AFP/AFLO

珍しいヘアバンド姿で公式戦に臨んだ本田圭佑。ブラジルのコロナ禍は心配な一方で

アウトゥオリ監督から痛烈な批判。

 ボタフォゴとフルミネンセは「7月以降でなければ試合をしない」と主張してスポーツ裁判所に申し立てたが、却下される。リオ州協会は両クラブに22日の試合実施を命じ、これに応じない場合は2部降格の可能性を示唆した。

 これに対し、ボタフォゴのパウロ・アウトゥオリ監督は「リオ州協会は金儲けしか考えていない」と痛烈に批判。本田圭佑も自身のツイッターで「6月16日、新たな感染者3万4918人、新たな死者1282人(注:ブラジル全体)。今、リーグを再開することに論理的な理由はあるのか」と疑問を投げかけた。

 このような緊迫した状況で、クリベーラ市長がリオ州協会と2クラブの間に割って入る。「市内の感染が再び増えている」として、21日から25日までの試合開催を禁止したのである。

 こうして22日の試合実施は不可能となり、リオ州協会がボタフォゴとフルミネンセに28日の試合実施を提案。両クラブはこれを渋々受け入れた。

 ただし、リオ州協会は「不適切な言動があった」としてアウトゥオリ監督に15日間のベンチ入り禁止処分を科す。これに対し、本田は自身のツイッターで、「パウロが処分を受けたが、なぜなのか。彼は自分の意見を言ったに過ぎない。表現の自由はどこにあるのか」と再び疑問を呈した。

 ボタフォゴはスポーツ最高裁判所にアウトゥオリ監督への処分の撤回を訴え、最高裁は処分の仮停止を決定。ところが、監督はリオ州協会への抗議の意味で、28日の試合にベンチ入りしないことを選んだ。

キャプテンマークにヘアバンド。

 前置きが長くなったが、本題の試合について触れよう。本田がボタフォゴでプレーするのはこれが2試合目だが、すでにチームの中心選手。左腕に黒いキャプテンマークを巻き、チームの先頭で入場した。

 リオ市内で美容院の営業が停止されているからだろう、いつになく髪の毛が伸びている。金と黒のまだらになりかけた髪を、紫のヘアバンドで押さえている。

 選手たちは「命を大切にするべきだ」という横断幕を抱えていた。ユニフォームの胸には「黒人の命は大切だ」、背中には「医療従事者の皆さん、ありがとう」のメッセージが刻まれていた。そして試合前、センターサークルで両チームの全選手が輪になり、新型コロナウイルスによる犠牲者へ黙祷を捧げた。

【次ページ】 開始早々、先制点の起点となった。

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