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岩渕真奈が五輪延期より残念なこと。
「海外の話を全部断りました」 

text by

了戒美子

了戒美子Yoshiko Ryokai

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photograph byAFLO

posted2020/06/27 11:30

岩渕真奈が五輪延期より残念なこと。「海外の話を全部断りました」<Number Web> photograph by AFLO

オリンピックと、ヨーロッパへの再挑戦。2020年は岩渕真奈のキャリアに大きな影響を与える年になった。

「代表って絶対勝たなきゃいけない場所だから」

――若い頃と感覚が変わってきている感じはありますか?

「やっぱり海外に行ったからかな。行ってる間に自分はできるんだっていう自信を身につけて、日本に戻ってからも、海外での経験が自信になっていると思います。

 でも、戻ってきて良かったこともたくさんあるんですよ。身体もしっかり整えられたし、コンスタントに代表に行くこともできる。海外にいると、国内合宿とか東アジア選手権に行けなかったから。だから、戻ってきたことはプラスです」

――ただ、その代表チームは苦しんでいますね。3月のSheBelieves Cupは3連敗でした(スペインに1?3、イングランドに0-1、アメリカに1-3。日本の2得点は共に岩渕)。

「2019年にW杯であの負け方(16強でオランダに惜敗)をして、でも負けた中にも成長を感じる部分はあったんです。その後の練習試合でも手応えはあったし、東アジア選手権も優勝しました。結果が全てなので、そうやって優勝したりすることで、どこかで自分たちを肯定していたんですよね。なんだかんだ勝ってるし、って。

 でも今年の3月にアメリカでボコボコにされて、このままじゃほんとにだめだよねって危機感が大きくなりました。東京オリンピックまで時間もないから」

――衝撃を受けたのですね。

「最近の中では一番ボコボコにされた大会だったので。

 結果と内容についての考え方って2つあって、勝っても内容が伴わなかったら意味がないと思う人と、いやもう勝てばいいでしょって思う人がいる。自分は、代表って絶対勝たなきゃいけない場所だから、『ボールはつなげなかったけど勝ちました』でも別にいいんじゃない? って思う方。だから、負けるのは絶対にダメなんです」

――その中で、ご自身は2得点しました。

「でも、まだまだ足りないです。自分は勝たなきゃ意味はないというのが前提なので。
それでもゴール自体は、コンスタントに代表で取れるようになってきた実感は持てました。強豪国が相手でもやれるんだって掴んだものはありましたね」

――リオ五輪予選で出場権を逃してから4年。早いものですね。

「なんか色々難しいなって思うこともあります。たとえば代表の環境は良くなって、飛行機がビジネスクラスになったりしました。もちろん良くなるに越したことはないけど、結果も出てないのにビジネスで移動するのはどうなんだろうって思うこともあります。

 女子サッカー界が良い方向に行くという意味ではいいことだと思いますけど、恵まれてる分結果を出さなくちゃいけないですよね」

――今後についてですが、海外移籍は五輪が終わるまで封印なのですね? 冬の移籍は基本的には考えない、と。

「そう思ってます。また魅力的な話をいただけたら、というところからですね。オリンピックがあるからっていう気持ちで頑張ってきて延期になったのは困ったけど、サッカーをやってる以上は頑張らなきゃいけないから。

 それに、オリンピックが1年延びて良いこともありますよね。代表が良くなるための時間ができたし。3月に負けていただけに、延期は決して無駄にはならないと思います」

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