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変わろうとする“白人社会”のMLB。
「皆と一緒に居心地の悪い会話を」 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2020/06/25 20:00

変わろうとする“白人社会”のMLB。「皆と一緒に居心地の悪い会話を」<Number Web> photograph by AFLO

インディアンスのデライノ・デシールズも、MLBで人種問題に言及することに躊躇を感じていたと告白した。

開幕以上に重要な案件。

 奇しくもその翌日(17日)、再開した英国のサッカー(プレミアリーグ)では、選手全員が「Black Lives Matter」の文字をジャージーの選手名の部分に入れ、試合開始前にはやはり、選手全員がNFLの選手たちのように片膝をつく「抗議運動」をした……すべての選手が!

 アメリカには「黒人のことは黒人だけが語るべき。他の人種は黙ってろ」と言う人々もいるが、アメリカ発の抗議運動が、海の向こうの「外国人」が運営する「外国のスポーツ団体」で、NFLですらできなかった形で再現されたのだ。私のようなアジア人のメディアも含め、自分がどう思われるのか気にしながら語る時間は終わり、自分がどう思うのかを言動で表す時が来ているのではないかと思う。

 確かなのは「アメリカ人」が運営する「アメリカのスポーツ団体」であるMLB(メディアを含む)が、新型コロナ・ウイルスの感染が再び拡大する兆しを見せる中で開幕することより、もっと重要な案件に直面しているということだろう。

筆者注:アメリカには「アフリカ系アメリカ人」と呼ばれるのを嫌う人もいるため、それを強調する必要がない限り、あえて「黒人」に統一しました。ちなみにその理由をその人は「僕は黒人であってもアフリカ系アメリカ人ではない。僕はアメリカ人なんだ」と教えてくれた。

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ケニー・ウイリアムス
デライノ・デシールズ

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