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島袋洋奨、母校・興南で新たな人生。
自分の経験を子供たちのヒントに。
 

text by

栗田シメイ

栗田シメイShimei Kurita

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photograph byHideki Sugiyama

posted2020/06/05 19:00

島袋洋奨、母校・興南で新たな人生。自分の経験を子供たちのヒントに。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

この春、母校・興南高校に“復帰”した島袋洋奨。将来は教員になることを視野に入れながら、自らの経験を次世代へ繋いでいく。

甲子園は理想、でも全てではない。

 あれから10年――。興南高校は3度の甲子園出場を果たし、全国的な知名度も高まった。改めて指導者として甲子園の舞台に戻りたいかと島袋に尋ねると、首を横にふる。

「もちろん母校で甲子園を目指せたら理想的だとは思いますが、高校野球はそれが全てではないので。僕が我喜屋監督に教わったのも、『野球を通して人生をいかに生きるか』ということでした。僕は高校野球、大学、プロでも良いことも悪いことも経験してきた。その経験から、子供達に人生のヒントとなるようなことを伝えたい。沖縄に恩返しをという思いはありますが、是が非でも甲子園に、とは正直今の段階では考えていないんです」

 早ければ来年頭にも学生野球の指導者資格が回復する見込みで、再び母校のユニホームに袖を通す可能性もある。

「社会人としてはペーペーで、デスクワークひとつとっても学びの連続で新鮮です」

 甲子園連覇に導いた左腕はどこまでも謙虚で、新たな人生に対しても前向きだ。うまくいかない時にどう人生と向き合うか――。

 島袋が発するからこそ重みを持つ言葉は、興南の財産として次世代へと継承されていく。

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