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井上尚弥のラスベガスデビューは夏?
怪物狩り目論むカシメロ陣営を直撃。 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byHiroaki Yamaguchi/AFLO

posted2020/04/28 11:40

井上尚弥のラスベガスデビューは夏?怪物狩り目論むカシメロ陣営を直撃。<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi/AFLO

本来であればラスベガスデビューを飾る予定だった井上尚弥。カシメロとのバンタム級3団体統一戦は実現するか。

ラスベガスで調整を続けるカシメロ。

 2月7日にフィリピンから渡米したカシメロは、3月15日に当初の滞在先だったマイアミからラスベガスに移動。ラスベガス在住のギボンズが借りた4ベッド、プール、キッチン付きの家を拠点に、弟、トレーナー、コーチとともに調整を継続している。そんな彼らのターゲットが“モンスター”であることに変わりはない。

 カシメロ陣営の望み通り、バンタム級統一戦を比較的早い時期に挙行することは実際に可能なのだろうか。

 もちろん全米で多くの死者が出ている中で、先を急ぎすぎるべきではないことは多くの関係者が理解している。今後、ボクシング界が興行再開に向かう前に、まずは新型コロナウイルスの検査と医療機関の状態改善が大前提。スポーツイベントのために検査や医療が必要な人たちを余計に苦しめることはあってはならず、アラム、ギボンズもその部分は繰り返し指摘していた。

 それらが落ち着くのは5月中旬〜6月と予想した上で、トップランク社は少しずつ興行開始の準備を進めているのだという。一足先に5月上旬からフロリダ州で再開されるUFCの動向も見ながら、タイミングを窺っていくに違いない。

「どんな状況でもリングに立つつもり」

 現在のアメリカは安心してスポーツ観戦などできる状況ではないだけに、しばらくはボクシングイベントもすべて無観客試合となる。ベガス、フロリダ、アリゾナといった街に選手、関係者が短期間隔離され、テレビスタジオのような場所で挙行されるのだろう。井上対カシメロ戦が再セットされるとしても、無観客興行が基本線。軽量級注目の統一戦としては寂しい話だが、カシメロと陣営には異論はない。

「井上がどう考えているかはわかりませんが、カシメロは無観客でも問題ありません。もちろん理想は大観衆の前で戦えることですが、現状、それは現実的ではない。大観衆を集めて興行を打つのはしばらく難しいことを認識しなければいけません。ボクサーはそれでも生活のために戦わなければならないのです。ゴングが鳴れば、観客がゼロだろうが、1人だろうが、カシメロにとっては同じこと。もちろん評価やタイトルも大事ですが、一方でボクシングはビジネス。カシメロは生活のために戦っているのであり、どんな状況でもリングに立つつもりでいます」

【次ページ】 収入源のメインは放映権料。

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