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サファテが348日ぶりの帰還。
左脚の使い方に見える復調の気配。 

text by

田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byKyodo News

posted2020/03/05 11:40

サファテが348日ぶりの帰還。左脚の使い方に見える復調の気配。<Number Web> photograph by Kyodo News

MLBでプレー後、広島、西武を経て'14年からソフトバンクにやってきたサファテ。日本通算234セーブ。

下半身は太くなっている。

 しかし、昨年のサファテは、左脚がパタンと地面についていた。下半身が粘れなかったのだ。このフォームで投げるなら、もし150キロ超のボールを投げたとしてもプロの打者たちは簡単に打ち返してしまう。

 今年の宮崎キャンプ。正直キャンプの中盤までは昨年と同様の左脚の使い方をしていたのだが、2月23日のブルペン投球を見た際に取材ノートに「左脚の粘りが少し出てきた」と思わずペンを走らせた。また、毎日取材していると気づかなかったが、間を置いて宮崎キャンプに戻ってきたメディア仲間は「下半身が太くなっているね」と教えてくれた。

 サファテもみなぎる自信を隠そうとせず、こんな話をしてくれた。

「今年は投げていて痛みがない。それが何より大きな違いだよ。去年もキャンプの時期に投げていたけど、じつは毎日痛み止めを服用していたんだ。1日で2回飲んだ日もあった。自分自身に『大丈夫だ、大丈夫だ』と言い聞かせながら投げていた。今はそんな不安は全くないからね」

理想の「基盤」を取り戻した。

 体重も手術の影響で10kg減だったのが、かなり戻ってきたという。

 仮に、左脚の使い方が改善されないままだったとしたら、もう投手生命は終わりに向かうだけだっただろう。

 しかし、サファテはようやく、理想のフォームの「基盤」を取り戻した。これできちんとしたスタート地点に立てたのだ。2月の1カ月間でもずいぶん体が元に戻っているのだから、今後さらに状態が上がっていくことも期待できる。ファンを熱狂させたキング・オブ・クローザーが再びあの登場曲で、満員の大歓声を背に受けて福岡PayPayドームのマウンドに立つ日がやってくるはずだ。

 心の底から、信じている。

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デニス・サファテ
福岡ソフトバンクホークス

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