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プロ野球公式戦は開幕できるのか?
コロナの実情と東日本大震災との比較。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2020/02/27 11:55

プロ野球公式戦は開幕できるのか?コロナの実情と東日本大震災との比較。<Number Web> photograph by KYODO

オープン戦の残り全72試合を無観客で実施することを決めた、プロ野球12球団の臨時代表者会議を終え、報道陣に囲まれるNPBの斉藤コミッショナー。

「状況を見極めないとすぐには言えない」

 NPBでは当面は専門家会議が掲げた「1、2週間」という期間を1つの目処にした決定とし、今回の無観客試合もあくまで「目的は(観客を入れて)3月20日のレギュラーシーズン開幕を迎えるため」(斉藤コミッショナー)という。

 ただ、実際には「(公式戦の実施の可否については)状況を見極めないとすぐには言えない」(同)と予断を許さない状況であることは明らかだ。

東日本大震災のときは2週間以上、開幕を延期。

 過去には2011年の東日本大震災で3月25日に予定されていた公式戦の開幕が4月12日まで2週間以上、延期された例がある。

 このときは被害が大きかった仙台に本拠地を置く楽天が、実際問題として試合を行える状況になかったこと、また電力問題などに加えて被害のあまりの大きさによる自粛ムードも加わったのが理由だった。

 ただその一方で、経済への影響などもあり、そうした自粛ムードとは別に再開を支持する声も強く、2週間の延期でプロ野球は公式戦開催に踏み切っている。

 しかし今回のケースでは果たして専門家会議が示す「1、2週間」で、本当に感染拡大が収束する目処が立つのかどうかが疑問な点だ。

 むしろこれから「パンデミック(世界的な大流行)が近づいている」(米CDC=疾病対策センター)と今後、さらに感染が拡大していくとみる声が広がっているのも事実だ。そうなると日本でも現在の状況が2週間で改善するとはとても思えず、むしろ拡大するのではないかという懸念の方が強くなっている。

 それが実情であり、それくらいの覚悟が必要だ、ということだ。

 となればはっきり言ってプロ野球どころではなくなる。実際にはオープン戦の無観客試合だけで終わらずに、3月20日に開幕予定の公式戦の実施も難しいことを視野に考えていかなければならない。

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斎藤惇

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