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ラオウの意識改革は「コンパクトに」。
オリックス杉本裕太郎が磨く確実性。 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKyodo News

posted2020/02/26 11:00

ラオウの意識改革は「コンパクトに」。オリックス杉本裕太郎が磨く確実性。<Number Web> photograph by Kyodo News

長打力が魅力の杉本裕太郎。昨季は18試合に出場し、4本塁打を放った。

「ランナー二塁の場面を想定して」

 そうした「変わらなければ」という意識に加えて、今シーズン加入した、メジャー通算1939安打、282本塁打を誇るアダム・ジョーンズの助言も影響を与えた。

「バッティング練習ではどういう意識で打っているんですか?」と杉本が尋ねると、ジョーンズは、「ホームランをバカバカ打つんじゃなく、例えばランナー二塁の場面を想定して、どうやってランナーを返すのかを意識して打つ。そういうことを常に心がけている」と答えたという。

「それから僕も、バッティング練習でそういうふうに意識して打っています。それで、たまたまかもしれないですけど(紅白戦で)練習通りの、例えばライト前のヒットだとか、らしくないヒットが増えてきているんで、継続してやっていこうかなと思っています」

 2月18日の紅白戦の4回に山崎福也から放った巧みな右前安打はその成果だった。

「本心はやっぱりホームランが一番嬉しいですけど、ヒットも嬉しいんで、両方打てたら。今までホームランを狙っていると、甘い球をミスショットしてファールにすることが多かったんですけど、今はそれがちょっと減ったかなと感じています」

進化系・ラオウは定着できるか。

 だからといって本塁打がなくなってしまっては杉本の魅力が失われるが、コンタクトを意識し、打席の中でバットを短く持ちながら放った21日の本塁打は、その不安を払拭するものだった。

「まだ、短く持つ歴そんなに長くないんで、今のところたまたまです」と謙遜したが、今季に期待を抱かせる。

 昨年のオリックスは、チーム打率、得点ともにリーグワーストで、その得点力不足が最下位に終わった大きな要因だった。今季はアダム・ジョーンズを獲得し、紅白戦やオープン戦では3番・吉田正尚、4番・ジョーンズでクリーンナップを組んでいるが、そのあとの打線に、確実性を増し一発の怖さもある杉本が定着できれば、オリックス打線は面白くなる。

 2020年は、進化系・ラオウに注目だ。

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