酒の肴に野球の記録BACK NUMBER

筒香嘉智&秋山翔吾のMLB移籍と、
菊池涼介の残留で浮かぶ3つの数値。

posted2020/01/09 11:40

 
筒香嘉智&秋山翔吾のMLB移籍と、菊池涼介の残留で浮かぶ3つの数値。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

メジャー移籍はかなわなかったのは残念だが、菊池涼介の守備が2020年も日本で見られる楽しみがあるとも言える。

text by

広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

PROFILE

photograph by

Hideki Sugiyama

 今オフMLB移籍を目指した3人のNPB野手。ポスティングでDeNAの筒香嘉智がア・リーグのタンパベイ・レイズに、海外FAの西武・秋山翔吾がナ・リーグのシンシナティ・レッズに移籍が決まった。その一方でポスティング移籍を希望した菊池涼介は断念した。

 この結果を予想する向きもあったが、3人の明暗を分けた理由としては、シンプルないくつかの指標を使って説明できる。

MLBでは長打を求められる中で。

<(1)IsoP(純粋な長打率)>

 長打率(塁打数÷打数)には、打率が含まれている。打率を含まない長打だけを見るにはIsoP(Isolated power)という指標がある。「長打率-打率」という単純な計算式だが、セイバーメトリクス系の重要な指標だ。

 筒香、秋山、菊池の過去5年通算のIsoPと2019年のMLBの平均値を比較しよう。

筒香嘉智 .266(長打率.564 打率.298)
秋山翔吾 .176(長打率.497 打率.321)
菊池涼介 .121(長打率.388 打率.267)
MLB平均 .183(長打率.435 打率.252)

 フライボール革命全盛の現在、MLBの野手は打順のいかんにかかわらず長打が求められる。この数字が.200を超えれば中軸打者といえる。

 2019年ア・リーグMVPのエンゼルス、マイク・トラウトのIsoPは.354(長打率.645 打率.291)、同僚の大谷翔平は.219(長打率.505、打率.286)だった。

 NPB選手はMLBに移籍すると「小型化」するのが常だが、それにしても筒香の.266は魅力的な数字だ。秋山翔吾はMLB平均よりやや下だ。しかし、それでも通算平均打率.321は捨てがたい。

 これに対し菊池のIsoPは、MLBのレギュラー野手としてはやや難しい数字だ。MLB平均は.183だが、NPBの平均値は.139(長打率.391 打率.252)だった。MLBのほうが長打がかなり多いことがわかる。

 MLBの野手は、NPBの野手以上に長打が求められていることがここからもわかる。

【次ページ】 四死球による出塁率を比較すると。

1 2 3 4 NEXT
筒香嘉智
秋山翔吾
菊池涼介
西川遥輝

プロ野球の前後の記事

ページトップ