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勝っても負けても涙の日本女子卓球。
石川佳純と平野美宇が通った修羅の道。

posted2019/12/17 20:00

 
勝っても負けても涙の日本女子卓球。石川佳純と平野美宇が通った修羅の道。<Number Web> photograph by Zou Zheng/Xinhua/AFLO

「ノースアメリカンオープン」で優勝した時の石川佳純。平野美宇は「(カナダでの負けで)気持ちの整理はついていました」と告白。

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高樹ミナ

高樹ミナMina Takagi

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Zou Zheng/Xinhua/AFLO

 この1年、彼女たちの涙を何度見てきただろう。

 負ければ涙、勝っても涙――五輪代表争いが激化した2019年を振り返ると、代表選考に絡んだ選手たちのやるせない光景ばかりが浮かんでくる。

 選考シーズンの土壇場までシングルスの代表枠を争った石川佳純(全農)と平野美宇(日本生命)もそうだった。群雄割拠の卓球日本女子でし烈を極めた2020年東京五輪の代表選考レース。その重圧は2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロと2度の五輪代表選考を勝ち抜いた石川でさえ、「今までで一番苦しくて、きつかった」と吐露するほどで、苦しい局面は数え切れないほどだという。

 先週、中国河南省の省都・鄭州市で開かれた「ワールドツアー・グランドファイナル」(12月12〜15日)もそのひとつだった。平野との激しいデッドヒートの末、3度目の五輪代表権を確実にした石川は、「やっと日本の選手同士で戦わなくて済む」と喜びと安堵の入り混じった涙を浮かべた。

 一方、シングルスの代表争いに敗れた平野は、「これが精一杯でした。結果を受け止めなければならない」と試合直後のミックスゾーンで無念の涙に濡れた。それはあまりにも痛々しく、日本でもテレビカメラの前で号泣する彼女の姿に胸を痛めた方は多かったことだろう。

選手を過酷な競争に駆り立てる代表選考基準。

 あまりにも残酷ではないか――。

 そんな声も聞かれた今回の代表争いは今年11月、2枠あるシングルス代表枠の1枠を伊藤美誠(スターツ)が確実にしたことで、残りの1枠を石川と平野で争うこととなった。

 2020年東京五輪の卓球日本代表枠は男女ともシングルス(個人戦)が2枠、3人1チームで戦う団体戦は3枠ある。

 シングルス代表には2020年1月時点で世界ランキングの日本人上位2人が選出され、その2人は団体戦にも起用される。

 団体戦要員の3人目はダブルスのペアリングを考慮した上で日本卓球協会の強化本部が推薦。世界ランキングを参考にすることは明確に謳われておらず玉虫色だ。

【次ページ】 ポイント獲得競争で毎週転戦する状況に。

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