アメリカで年に2試合する予定。

　話をドネア戦に戻すと、この試合が海外の専門家に与えたインパクトの強さを思う。試合数日後、米国の専門誌リング恒例の「P4P（パウンド・フォー・パウンド）ランキング」で井上が3位に上がったことが明らかになった。上は1位カネロ・アルバレスと2位ワシル・ロマチェンコの2人だけしかいない。

　井上は「他人の評価だから」と言うが、もちろん気分が悪いはずがない。少し前までの日本のボクシングでは想像もできなかったほどの快挙である。

　試合直後にはトップランク社の社長トッド・デュボフが井上と複数年契約を結んだことを正式に発表した。今後は年に2度本場のリングに立つという。

　となると国内で井上の試合を観る機会は年に一度あればいい方ということになってくる。これも井上がさらに世界的にビッグな存在に育つためには我慢しなければいけないことなのかもしれない。

　しかし結構ずくめのような井上の今後だが、懸念材料がまったくないわけではない。

　右目のケガは眼窩底骨折だったことが判明した。さらに鼻の骨折もあったという。「打たせずに打つ」井上がこれほど被弾したのは初めてだったが、これが今後の井上の完璧なボクシングに微妙に影響を及ぼすことはないかが気になる。