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田村潔司へ「真剣勝負してください」
拳王“コラコラ問答”と中邑の記憶。 

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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photograph byEssei Hara

posted2019/11/23 18:00

田村潔司へ「真剣勝負してください」拳王“コラコラ問答”と中邑の記憶。<Number Web> photograph by Essei Hara

11月2日、場外での拳王を見つめる田村潔司と長州力。11月9日には、拳王はかつて田村が高田延彦に発したセリフを真似するように挑戦状を叩きつけた。

7年を経て実現した“真剣勝負”。

 しかし、高田はこれを黙殺。6日後の8月24日、長州力との公開電話会談をもって、10.9東京ドームでの「新日本プロレスvs.UWFインターナショナル全面対抗戦」は、電撃的に正式発表された。

 Uインター社長である高田に公然と挑戦を迫り、対抗戦への出場も拒否した田村は、その後、試合を干され、給料もストップ。Uインターにもはや居場所はなく、翌'96年5月の契約切れをもって退団し、リングスへと移籍した。

 田村の“革命”は失敗に終わったが、“真剣勝負”はそれから7年の時を経て、'02年11.24『PRIDE.23』(東京ドーム)での高田延彦引退試合で実現。田村は師・高田を右フック一発でKOし、介錯したのだ。

中邑とかぶる拳王の姿。

 今回、田村に対して「真剣勝負してください!」とアピールした拳王は、何も総合格闘技での対戦を望んでいるわけではないだろう。

 拳王は、田村とノアのリングで闘うことで、自分の力やノアという団体自体を、ノアファンの外に向けてアピールしようとしているように思える。その姿は、どこか10年前の新日本プロレス所属時代の中邑真輔を彷彿とさせる。

 中邑は'09年9.27新日本の神戸大会で「猪木ーーッ! 旧IWGP王座は俺が取り戻す!」と、当時、新日本では半ば禁句だった「猪木」の名前を出して宣戦布告。さらに11.8両国大会では、「過去と闘って何が悪い! 昔を越えようとして何が悪い! 未来は俺が作る!」と発言。

 新日本本流の闘いでファンの心をつかんでいった棚橋弘至に対し、“打倒・猪木”という自分なりの方法論で、周囲に波風を立たせながら、新日本を盛り上げていった。

 ノアの王道を往く清宮と、田村に宣戦布告した拳王の姿は、どこかそんな10年前の棚橋と中邑の関係に似ているように思うのだ。

【次ページ】 拳王vs.田村、実現の可能性は?

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