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サイ・ヤング賞より歴史ある沢村賞。
「該当者なし」でも規定は変えるな! 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2019/10/25 20:00

サイ・ヤング賞より歴史ある沢村賞。「該当者なし」でも規定は変えるな!<Number Web> photograph by Kyodo News

昨年は巨人の菅野智之投手が全項目をクリアして、2年連続で沢村賞を受賞した。

サイ・ヤング賞との比較。

 ニコースキー氏だけでなく、基準の厳しさを時代遅れとする声がネットを中心に巻き起こり、その中で特にその論拠とされるのが、ニコースキー氏も比較基準としたMLBのサイ・ヤング賞だった。

 サイ・ヤング賞はその年に活躍したア・ナ両リーグの投手1人ずつに与えられる賞で、受賞者は記者投票で選出される。受賞に特に基準項目もなく、受賞者も先発投手に限らず、リリーフ投手でも資格があるものだ。

 2018年には、ニューヨーク・メッツのジェイコブ・デグロム投手が先発で史上最少の勝ち数、10勝9敗の成績で選ばれている。

沢村賞は“絶対価値”の賞。

 ただ、サイ・ヤング賞はあくまで相対比較の賞で、その年に最も活躍した投手という基準。一方の沢村賞は先発完投型の投手という規定で、細かな基準項目が設定されているある意味“絶対価値”の賞なのだ。

 2つの賞が同じ投手を対象にしたものだというだけで、同じ枠に括ること自体が暴論といってもいいだろう。

 ただ、この7つの項目と新たに加わったQS率の基準が時代にそぐうのかどうかということは、これは別問題だが、それとて沢村賞という賞はそういうものだとすれば変更する必要もないかもしれない。

「大リーグは日本より遅く開幕して162試合を戦い、日本より早く終わる。だから連戦も多く先発は中4日。日本は(143試合で)中6日で100球というのには抵抗がある」

 こう語ったのは発表の記者会見に臨んだ堀内委員長だった。

 過去には巨人・菅野智之投手が2017年には5項目、昨年は全項目をクリアして2年連続受賞した例もある。

【次ページ】 無理して受賞者を選ぶ必要はない。

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