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柔道・角田夏実の大逆転はあるのか。
階級変更を決断させた五輪への執念。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byNaoki Morita/AFLO SPORT

posted2019/10/28 11:15

柔道・角田夏実の大逆転はあるのか。階級変更を決断させた五輪への執念。<Number Web> photograph by Naoki Morita/AFLO SPORT

全日本選抜体重別選手権では志々目愛を破り、優勝した角田夏実(右)。東京五輪を目指し、階級変更という大きな決断をした。

階級変更を決断、五輪への思い。

 そして角田は、階級変更を決断した。

 グランドスラム大阪に出場して自らが優勝し、阿部に内定が出るのを阻止する道もあった。ただ、阿部が積み上げてきた国際大会の実績を覆すのは、客観的に見ても、相当に困難であるのは事実だ。

 9月の全日本実業個人選手権で48kg級に出場し優勝、10月の国際大会「グランドスラム・ブラジアリア」では52kgで銅メダルに終わった経緯もあった。それは48kg級で可能性を見出し、52kg級で差を縮めることができなかったことを意味していた。

 幸い、48kg級に落とすのにそれほど苦労しない体重でもある。

渡名喜、近藤らライバルも多い。

 とはいえ、48kg級でも簡単なわけではない。2017年から3年連続世界選手権に出場し、金1、銀2のメダルを得ている渡名喜風南がいるし、リオデジャネイロ五輪銅メダルの近藤亜美、世界ジュニア選手権優勝など伸び盛りの高校3年生、古賀若菜らがいる。

 角田もまたそれを自覚するだろう。

 それでも変更したのは、オリンピックへの思いにほかならない。

 もともと、気持ちの強い選手でもある。2017年の世界選手権出場時は、大会前に右足甲を剥離骨折、鼻骨骨折の怪我を負っての出場だったが、鼻骨骨折時にはボールペンを鼻に入れて形を整えて処置したという逸話もある。

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