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球場に自衛隊を呼ぶことはできるか。
メジャーと軍隊の関係から考える。 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2019/09/23 19:00

球場に自衛隊を呼ぶことはできるか。メジャーと軍隊の関係から考える。<Number Web> photograph by Getty Images

アメリカにおいて、軍隊に敬意を払うのは共和党・民主党問わず絶対の文化的前提なのである。

日本の球場に自衛隊を招待できるか?

 だから、ふと考えてしまうのだ。

 日本人は「被災地で支援活動を行っている人々」をプロ野球が行われている球場に招待し、「Recognition=認識」することを容認できるだろうか、と。

 アメリカの軍隊同様、日本の自衛隊だって「被災地で支援活動を行っている人々」である。幾つかの報道によると今年もまた、台風で大きな被害が出ていて、自衛隊が被害に遭われた方々のために関係施設を開放したことや、東京電力と協力して失われた電力の復旧作業に乗り出しているという。

 その反面、SNS上では「政府の対応が遅い」とか「総理大臣の言動」がどうとかいう書き込みがなされ、それはそれで理解できなくもないのだけれど、「それはそれ、これはこれ」である。

責任なんてもちろんないけれど。

 被災地で頑張っている人々を称えること自体は、政権与党の政治方針や右翼的思想とは無関係で、自衛隊の被災地における支援活動が、省庁や自衛隊で表彰されるだけではなく、もっと広く世間に「Recognition=認識」されたっていいと思う。

 日本のプロ野球にそうする責任などまったくないが、批判を恐れずに「誰もやらないなら、我々がやりましょう」とリーダーシップを発揮してもいい。

 自衛隊だけではなく、被災地で頑張っている警察や消防関係、各種ボランティア団体の人々をそれぞれの本拠地に招待して、プロ野球ファンに広く「Recognition=認識」してもらうイベントがあってもいい。

 こんなご時世だからこそ、我が国にも胸を張って、被災地で頑張っている人々への「Recognition=認識」を、自ら積極的に世間に広めるようなプロ野球があってもいいのではないか、と思う。

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