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一進はあっても、一退はない。
「投手」大谷、復活へのステップ。

posted2019/08/23 11:50

 
一進はあっても、一退はない。「投手」大谷、復活へのステップ。<Number Web> photograph by Kyodo

エンゼルスのチーム防御率は5点台(8月21日現在)と、メジャー全体でも下位に沈む。来季、大谷の投手としての復活はチームにとって不可欠だ。

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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Kyodo

 エンゼルスの不動の「3番DH」として活躍している大谷翔平が、投手としても順調なペースで復帰へのステップを踏んでいる。

 8月17日の時点で、すでに10回目のブルペン投球を行い、球団が制限する球速も85マイル(約137キロ)までアップした。

 7月下旬の段階で70マイル(約113キロ)、約10日後で80マイル(約129キロ)だったことからも、ほぼプラン通りに進んでいることがうかがえる。だからといって、今後、リハビリのペースを加速させる予定もなければ、その必要もない。

 昨年10月1日に「トミー・ジョン手術」を受けて以来、約10カ月あまりが経過した。過去、同手術を受けた投手は、復帰まで12~18カ月を要するとされてきた。実際は、術後1年でマウンドに復帰した松坂大輔(2012年=当時レッドソックス)のように早いケースもあり、個人差はある。ただ、大谷の場合、あくまでも投手としての復帰は来季開幕時。つまり、当初から術後17カ月と、かなり時間的な余裕を持ったプランを進めてきた。

ゆったりとしたリハビリのペース。

 手術した時期次第で復帰日の目標設定が変わってくるとはいえ、このゆったりとしたリハビリのペースは、大谷が「二刀流」だからこそ、球団だけでなく、大谷自身もスムーズに受け入れられた側面があるのではないだろうか。

 今季の大谷は、打者専念の方針の下、5月7日、DHとしてメジャーの舞台に戻ってきた。ただ、もし仮に、大谷が投手専任であれば、間違いなく、今現在もメジャーのグラウンドには立っていない。孤独で過酷なリハビリメニューを消化し、かなりのハイペースで調整したとしても、マイナーなどでフリー打撃に登板している頃で、今季中の復帰もかなり微妙な状況だったに違いない。

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大谷翔平
ロサンゼルス・エンゼルス

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