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中途半端なビデオ判定は逆効果だ!
プロ野球界に足りない「第三者の目」。

posted2019/06/11 08:00

 
中途半端なビデオ判定は逆効果だ!プロ野球界に足りない「第三者の目」。<Number Web> photograph by Kyodo News

4-4で迎えた8回2アウトの場面で、問題の判定は生まれた。スポーツにおける審判の問題は、永遠のテーマともいえる。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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Kyodo News

 不信感を募らせないためにこそ、第三者の客観的な目が大事なのではないか。

 6月6日にヤフオクドームで行われたソフトバンク対中日戦で起こったリクエストを巡る“誤審騒動”に、改めて現行のリクエストによるビデオ検証の問題点が浮き彫りとなった。

 問題のプレーは4対4の同点で迎えた8回の中日の攻撃だった。この回の4人目の打者となった大島洋平外野手が右翼ポール際のフェンスを直撃する飛球を放ち、跳ね返った打球が転々と内外野の中間あたりまで転がった。その間に大島は三塁を回って一気に本塁に突入。カバーに走った明石健志内野手がバックホームし、大島はヘッドスライディングでホームに滑り込むクロスプレーとなった。

 このクロスプレーに土山剛弘球審はアウトの判定を下したが、中日・与田剛監督がリクエストを要求。ビデオ判定の結果は、最初の判定通りにアウトという結論だった。

 ただ、リクエスト中に場内に流された4方向からの映像に対するスタンドの反応はちょっと違うものだった。センターとバックネット方向からの映像は、大島の左腕付近にタッチにいったソフトバンク・高谷裕亮捕手のミットが空を切り、大島の左手が先にホームプレートを触った後にミットが肩付近に触れているように見えるものだったからだ。

ビデオ検証に対する抗議は認められていない。

 場所はソフトバンクの本拠地のヤフオクドームである。ビデオ判定の結果、判定が覆らずアウトが宣告されると、場内はちょっとどよめきが上がる程度だったが、このどよめきが判定への疑問符だったことは明らかだ。

 そして中日ベンチからは一斉に不服を示すジェスチャーと抗議の声が湧き上がった。

 ビデオ検証に対する抗議は認められていないため、中日側は抗議することなく、大島の一打は“幻のランニングホーマー”として試合は再開。その裏に同じような本塁上のクロスプレーでソフトバンク・工藤公康監督のリクエストの結果、今度はアウトがセーフに覆るというオマケまでついて2点を勝ち越された中日は4対6でこの試合を失う事となったわけだ。

「(判定の)変更に値する確証を得られる映像がなかった」

 試合後の審判団の見解である。

【次ページ】 審判自身がビデオで自分の判断を覆せるのか?

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