「間違いなく新しい時代の選手」

　試合後にアザレンカは、「間違いなく新しい時代の選手。この5年、10年のテニスの変化は劇的で、よりフィジカルになり、その傾向はますます強くなっている。彼女のショットは重くて、フォアにもバックにも穴がない。ビッグサーブがあるし、安定もしている。そこに、積み重ねてきた自信が加わって、それをうまく使いこなしている」と、新たな時代を作っていく大坂を評した。

　この試合を見た者たちはアザレンカの復活も信じたに違いない。グランドスラムにはあちらこちらにドラマが転がっている。大坂はそんなライバルたちのストーリーすら自分のエネルギーに変えていく。

「私はグランドスラムが好き。誰もが必死で勝ちにいく雰囲気はとても楽しい。もう自分の名前の横にある数字は気にならないわ。ただ、ここで優勝するためにがんばることだけを考えている」

　そういえば、大坂が初めてタイトルをつかんだ昨年のインディアンウェルズでは、かつてはセリーナのライバル扱いされていた元女王マリア・シャラポワを1回戦で倒して弾みをつけた。

　立場は大きく変わったが、今大会もあのアザレンカ戦がカギだったと振り返ることになるのではないか。

　そんな予感もする。ただ、そのインディアンウェルズではビッグネームを連破した一方で格下相手にも苦しんだ。

　その道のりを考えれば、世界ランク42位のカテリナ・シニアコバとの3回戦も油断ならない。しかし、ひとつひとつ心の重しをはずしていくような女王の成長を楽しみたい。