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ヴィクトリアマイルと川島信二騎手。
他界した先輩、叔父の思いを胸に。 

text by

平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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photograph bySatoshi Hiramatsu

posted2019/05/10 15:00

ヴィクトリアマイルと川島信二騎手。他界した先輩、叔父の思いを胸に。<Number Web> photograph by Satoshi Hiramatsu

阪神牝馬Sでは3着だったミエノサクシード。ヴィクトリアマイルで大仕事を成し遂げるか。

「甥っ子を乗せるため」に手に入れた馬。

 ミエノサクシードは、そんな故人である佐々木完二氏が「甥っ子を乗せるため」といって手に入れた馬だった。デビューを前に彼が他界してしまった上、子息の政充氏も亡き父のしごとを継ぐために馬主を撤退する事を決めたので、その願いは叶わぬものになったかと思えた。

 そこに救世主として現れたのが、新しい馬主であり、現在の馬主の里見美惠子氏だった。同馬を引き取った彼女は故人の意思を尊重し、川島騎手を乗せ続けているのである。

 ちなみに、馬名の「サクシード」は、「成功する」という他に、「継承する」という意味もある。これは佐々木完二氏の仕事を継ぐために馬主業を撤退した政充氏へ、里見美惠子氏が想いを込めて贈った言葉だったのだ。

 東京出身でありながら関西に所属する川島騎手にとって、東京競馬場での勝利は特別なもの。オースミハルカで府中牝馬Sを勝利した時は「感慨深いものがあった」と語る。

 さて、その東京で初めてGIを勝てた暁には、どんな気持ちになるのだろうか……。今週末のミエノサクシードの走り、川島騎手の手綱捌きに注目しているのはファンばかりではない。きっと空の上から佐々木完二氏や岡潤一郎元騎手も応援してくれている事だろう。

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