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あまりに偉大な2004年のイチロー。
262安打の足跡を今一度振り返る。 

text by

広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byNaoya Sanuki

posted2019/04/14 11:30

あまりに偉大な2004年のイチロー。262安打の足跡を今一度振り返る。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

シーズン262安打を放った2004年のイチロー。「マルチヒット」という言葉が日本に定着したのも、彼がいたからこそだ。

2度目のMVP当確と報じられたが。

 2度目の首位打者、最多安打、何より大記録。日本のメディアは「2回目のMVP間違いなし」と書き立てた。しかしMVP投票ではイチローは得票率25%の98ポイント、7位に終わった。

 この時期からMLBはセイバーメトリクスの考え方が普及し、単なる「数字」ではなく、チームへの貢献度を重要視しはじめる。ア・リーグMVPは、西地区最下位マリナーズのイチローではなく、同地区優勝のエンゼルスのウラディミール・ゲレーロ(354.0ポイント)だった。

 途方もない記録を樹立したのにMVPに選ばれなかった。このことに「Ichiro」というメジャーリーガーの極めて特殊な「個性」が現れている。

 イチローの最後の試合となった今年3月20、21日の開幕戦、アスレチックスの監督は2004年当時、マリナーズの監督だったボブ・メルビンだった。

 すっかり頭が白くなったイチローのエンディングに、絶頂期のイチローを起用したメルビンは、どんな感慨を抱いたのか。

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