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「弱さ」を自覚した宇野昌磨。
再び立ち上がるためにすべきこと。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAsami Enomoto

posted2019/04/11 07:00

「弱さ」を自覚した宇野昌磨。再び立ち上がるためにすべきこと。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

世界選手権では表彰台を逃した宇野昌磨。国別対抗戦へ気持ちを切り替える。

「結果を求めて挑みたい」。

 いつしか、周囲が寄せる期待にも視線は向かった。

「皆さんの期待に応えられるよう、精一杯、努力したいと思っています」

 11月のNHK杯へ向けた記者会見での言葉である。

 すると、心持ちにも徐々に変化が訪れた。小さな頃から「練習での成果を試合で発揮することが大事」とコーチから教わってきた宇野は、それを指針として歩んできた。成績よりも求めるべきものだった。

「自分がベストを尽くしたら、それ相応の結果がついてくると思うんです。自分のやれることをやって、出た結果は自分の実力だと思っています。だから結果を求めて試合はしないです」

 根幹にはそんな考えがあった。

 でも自分を支えてくれる人々や応援してくれる人に応えるために大事なのは成績にほかならない。周囲への責任感がそこにあった。

 自分を信頼すること、結果を出すこと――。そのための舞台として迎えたのが世界選手権だった。

「この試合は結果を求めて挑みたいなと思っています」

表彰台を逃した世界選手権。

 はっきりと意志を示して臨んだ大会、だが現実は優しくはなかった。ショートプログラムでミスがあって6位、挽回を期したフリーでもジャンプの失敗があり、最終的に4位と表彰台に上がることもできなかった。

「自分は本当に弱いんだなと気づかされました。自分がトップで争える実力はないと言い聞かせて、いちから成長して帰ってこなければいけないと思います」

 試合の翌日の言葉と表情もまた、悲痛なトーンを帯びた。

「エキシビションの練習でリンクにのると、悔しさからくるいらだちがすごくあったと思いました」

【次ページ】 「自分が思っているよりも弱い」

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