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Bリーグで異端の“儲かるクラブ”。
大阪エヴェッサ34歳社長の商人魂。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byYusuke Mimura

posted2019/04/02 08:00

Bリーグで異端の“儲かるクラブ”。大阪エヴェッサ34歳社長の商人魂。<Number Web> photograph by Yusuke Mimura

リーグ最年少34歳で大阪エヴェッサの社長を務める安井直樹。大阪府出身で、自らも小学生からバスケをプレーしてきた。

安定した経営が必須な理由とは。

 話は変わるが、Bリーグから3月12日に発表されたリリースからは、理想的なチーム経営のあり方について考えさせられることがあった。B2中地区首位の信州ブレイブウォリアーズが、来季のB1に参加できるライセンスを得られなかったのだ。

 BリーグはB1からプロアマ混合のB3までの3段階に分かれているが、B1とB2の各カテゴリーに所属するためは、それぞれライセンスを得なければならない。

 B1に所属するためにはいくつかの条件がある。ブレイブウォリアーズは5000人以上規模のアリーナの将来的な確保や、平均観客動員数1500人以上の条件をクリアしていた。しかし、申請前のシーズンで債務超過を解消できなかったことが、ライセンス発行を受けられない理由となった。それほどまでにBリーグは財務状況を厳しくチェックしているのだ。

 Bリーグが各クラブの経営に過度に介入しているならば、それは問題だ。ただ、経営について厳しく評価するのは大切なことだろう。というのも、プロバスケットボールの黎明期において、クラブに必要なものに順位づけるなら、このような順序になるからだ。

1.安定した経営が行なわれること
2.多くのお客さんを集めること
3.競技面の発展

 安定した経営は多くのチームが存続しながら、競争を続けるためのスタートになる。その上で、バスケットボールをする人の数だけではなく、観戦者の数を増やす。そうすれば、バスケットボール界に入るお金が増え、人材の質が上がる。そして、それが競技力の向上につながる。

 代表チームが悲願のW杯出場を決めたばかりだから、競技力の向上にばかり目が向きがちだが、その土台となるのがBリーグの安定的な発展であることを忘れてはならない。

大阪の課題は観客動員数。

 話を戻そう。Bリーグ経営における優等生のエヴェッサだが、Bリーグ開幕後の2年間は優勝争いに参戦できず、観客動員数も中位である。

 3月27日現在、今季の平均観客動員数は2879人で、ホームゲーム3節を残してリーグ11位。3月24日の新潟アルビレックスBB戦では今季最多の4390人を集め、さらに残りの3節でも様々な施策を打つため、最終的には昨季の3007人は越えられそうな見込みではある。ただし、伸び率という面では物足りない。

 それは安井自身も認めているところだ。実際、2月にはチケットセールスの組織変更に着手し始めたところだ。改善の余地は大いにあるという。

【次ページ】 「エヴェッサがやりよったわ!」

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