何事もごまかさない性格。

　彼を取材していて感心することがある。

　彼は自分の感情に対して、とても素直だ。

　プロ4年目にして初の一軍昇格を決めた昨年のシーズン終盤も、慣れない地方遠征で蓄積する肉体的および精神的ストレスについて尋ねると「野球以外のことをなるべく考えるようにしている」と話した上でこう話を続けた。

「僕、基本、適当なんで……。逆に適当じゃなきゃ（この世界で）続かないと思うんです。真面目にやっていたら自分の場合、壊れそうですからね」

　照れくさそうに笑った。

　とはいっても、彼が自分の弱さから逃げているのかと問われたら実際はそうではない。その弱さを受け止めた上で、「次どうするか？」まで彼は考えている。それを人前で隠すわけでもごまかしているわけでもない。素直に自分の感情をさらけ出す勇気を彼は持っている。

　これも日々、自分と向き合ってきた証拠なのではないだろうか。これまでの4年間、彼を見てきながら、そう思う。

故障と戦い続けた3年間。

　思い当たるところはある。

　彼はプロ入りした'15年からの3年間、度重なる故障と戦ってきた。

　1年目の春先に右肘の痛みを訴えて早々に戦線離脱をすると、そのオフには靱帯損傷が発覚してトミージョン手術を敢行した。2年目はそのリハビリで丸1年を費やすと、やっと治った3年目には椎間板ヘルニアを発症して再びリハビリ生活を送った。

　球場に行けばユニフォーム姿の彼ではなくトレーニング用のウェアに着替えた彼を見かけることの方が多かった。

　その間、彼は自分が出来ることを考え、コツコツと努力を続けてきた。

　他人を羨むわけでも、運命を恨むわけでもなく、現状と向き合い常に前向きな姿勢でマインドセットをしてきた。

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