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初登板にしては「すごくいい」。
菊池雄星がずっと笑顔だった理由。

posted2019/03/02 09:00

 
初登板にしては「すごくいい」。菊池雄星がずっと笑顔だった理由。<Number Web> photograph by Getty Images

このまま順調に行けば東京ドームで行なわれる開幕2戦目の先発の可能性もあるが、果たして。

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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 メジャー1年目を迎えるマリナーズの菊池雄星が、2月25日のレッズ相手のオープン戦で米国初登板を果たした。

「目指していた場所に立てたという充実感はすごくありましたし、1人1人のバッターの名前を見ながら、本当にやっと立てたんだという実感が湧いてきました」

 岩手・花巻東高時代から憧れ続けてきたメジャーのマウンド。まだオープン戦の段階とはいえ、積年の思いが脳裏をよぎった。

 だからといって、感慨に浸り続けていたわけではない。公式戦開幕まで限られた実戦の機会だけに、やるべきことをやる姿勢は忘れていなかった。

 内容は予定の2回、29球を投げて1安打2失点(自責0)1四球1奪三振。味方の2失策が絡み、2点を与えたものの、最速95マイル(約153キロ)をマークするなど、上々の試運転だった。試合後、「楽しかったです」と振り返った初登板では、収穫や手応えを感じた一方で、実戦でしか得られない課題も発見した。

ストレートに込められた意思。

 最大の収穫は、投球の基本となる速球だった。

 1回表2死からは、強打の3番ヤシエル・プイグを内角速球で詰まらせて一塁ゴロに仕留めた。無難に攻めれば、外角主体でも結果は出たかもしれない。だが、内角に狭いと言われる米国流のストライクゾーンを意識したうえで、高低も使った。正捕手ナルバエスのサインに首を振ることもいとわず、1球ごとに意思を込めた。

「ストレートに関しては納得のいくボールが多かったので。まだまだ変化球の精度というのはこれから上げていく必要があると思いましたけど、まずは生命線のストレートがいい形で行けたというのは一番ホッとしています」

 確かに、絶対的な自信を持つスライダーは、まだ本調子ではない。だが、長いシーズンで常に同じ球種を正確に操れるわけではない。

【次ページ】 初戦で95マイルまで出た。

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