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ポドルスキがヴィッセルで持つ野心。
「イニエスタも同じような考えを」
 

text by

手嶋真彦

手嶋真彦Masahiko Tejima

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photograph byAsami Enomoto

posted2019/02/11 11:30

ポドルスキがヴィッセルで持つ野心。「イニエスタも同じような考えを」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

神戸での野心を語ってくれたルーカス・ポドルスキ。来日3年目はイニエスタ、ビジャとどんな化学反応を起こすか。

イニエスタと経験を伝える。

 強い信頼関係は“行動”によって育まれてきたらしい。

「ヴィッセル神戸では、提案が本当に一つひとつ叶えられてきた。僕のアイデアだろうと、別の誰かのアイデアだろうと。日本のよそのクラブがどうかは知らない。でもサッカーの世界では往々にして、せっかく議論したのに何も変わらないケースがある。

 ヴィッセル神戸のプロジェクトに関われて楽しいし、このクラブに居られる幸せを感じもする。三木谷会長からは熱量を感じる。ひたすら前進していくエネルギーを」

 まずヨーロッパから多くを学び、その上で日本のオリジナリティーを出していけばいい。来日後、そう主張してきたポドルスキは、神戸のチームメイトやスタッフに何を伝えようとしているのだろうか。

「経験だ。自分がここに来た意味は、経験を伝え、活かしてもらうところにもあるだろう。おそらくイニエスタも、同じような考えを持っているはずだ」

 そうした意見交換をもう始めているのか。

「これからだ。イニエスタの来日からまだ間もないし、今は目の前のシーズンに集中しなければならない。しかるべきタイミングが来たら、腰を落ち着けて、クラブのスタッフも交えながら、しっかりとした話し合いをしていきたい」

W杯直後からポジティブな連携。

 では、ピッチ上の手応えは掴んでいるのか。アンドレス・イニエスタとの初の揃い踏みは取材の2日前、Jリーグのジュビロ磐田戦で実現したばかり。5月上旬から怪我で戦列を離れていたポドルスキにとっては、約3カ月ぶりとなる復帰戦でもあった。

「ポジティブなフィーリングをすでに感じている。イニエスタはワールドカップを戦い、しかもシーズン途中の合流で、ふたりともコンディションが万全ではない難しい状況だったのに、ああいう試合ができた。他のチームメイトとの連携を含めて、この先は良くなっていくだけだ」

 実際、磐田戦でイニエスタの来日初ゴールを左足のラストパスでアシストしたのがポドルスキだった。世界水準のプレーに鳥肌が立ち、声にならない声が出てしまうようなエモーショナルなシーンだったと伝えると、ポドルスキは頷きながら振り返る。

「重要なのは勝利を収めたこと。勝点3をきっちり取れたから、あのゴールも引き立った。イニエスタと初めてチームメイトとしてプレーした試合で、ああいうゴールが生まれ、最終的には勝利で良いストーリーに仕上がった。

 こういうシーンを増やし、良い試合をすることで、スタジアムを訪れるファンが増えてくれたら、嬉しいね。勝点3にフォーカスして、戦いに臨むのが自分の役割だと思う」

【次ページ】 まるでやんちゃな少年。

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